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□標的42
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「おーい、だいじょーぶか?」
木の間から顔を出したのはこの時代の山本。片手に刀を持っていることから、モスカに一撃喰らわせるはずだったのだろう。
すみませんねー、出番潰しちゃって。でもさー、嫌だったんだもん。機嫌悪いから、なんか壊したかったってのもあるけど。
『ねー、早くアジト連れてってー……』
「あ、ああ、そうだったな。こっちだ」
「あー、ラル。お前の知ってるアジトの情報はガセなんだ」
すまなそうに頭をかく山本。懐から1つの匣を取り出すと、リングに炎を灯して開匣した。途端、振り出す大雨。
「見失うなよな」
歩き始めた山本を見失うことがないよう、必死に目を開けて歩く。少しすれば、アジトの入口らしきものがあった。
「他にもこんな入り口が6か所ある。此処はボンゴレの拠点として急ピッチで建造中だったんだ」
開かれた扉の向こうには、何もない広い空間が広がっていた。
「いまんとこ、6割がた出来てるってとこだな」
「すげーなボンゴレってのは。こんなこともできちまうんだな」
「いいこと教えてやろーか?お前がつくらせたんだぜ、ツナ」
その言葉に少し目を見開いたツナは、フッと笑うと、そーだろうなと呟いた。
「おい、あの装置はなんだ?」
廊下の奥にある装置。ジャンニー二が作った何かを遮るものらしい。
「うッ、うぐ……」
その装置をラルが通ると、呻き声を小さくあげて倒れた。それを見て、こちら側に居たツナが駆け寄ろうとする。
その背からカレンは急いで飛び降り、装置の1歩手前で立ち止まった。突然のことに綱吉は後ろを振り返る。
「どうしたんだ?カレン」
『……』
「ほら、来いよ。怖いことなんて何もないぞ?」
そう両手を広げる綱吉を見ても、カレンは行く気になれなかった。
「ああ、そうか…カレン達にとって外界とは違う作りになってるからな。体がショックを起こすのを、嫌がってるんだろ?」
『う…ってか何で、山本が知ってるの?』
「俺はこの時代に生きてるんだぜ?お前のこと、全て知ってるぜ」
となると、異世界から来たとか、アルコバレーノの真のボスってことも知ってるんだろうな。
『…綱吉、僕倒れると思うから構えてて』
「分かった」
覚悟を決めて装置の中に飛び込んだ。その瞬間、意識が闇に沈んだ。
あー、うん。あそこ行くまでには目ェ覚まさないとなぁ…
そんなことを考えながら。