U

□標的42
2ページ/2ページ





「おーい、だいじょーぶか?」



木の間から顔を出したのはこの時代の山本。片手に刀を持っていることから、モスカに一撃喰らわせるはずだったのだろう。
すみませんねー、出番潰しちゃって。でもさー、嫌だったんだもん。機嫌悪いから、なんか壊したかったってのもあるけど。



『ねー、早くアジト連れてってー……』


「あ、ああ、そうだったな。こっちだ」


「あー、ラル。お前の知ってるアジトの情報はガセなんだ」



すまなそうに頭をかく山本。懐から1つの匣を取り出すと、リングに炎を灯して開匣した。途端、振り出す大雨。



「見失うなよな」



歩き始めた山本を見失うことがないよう、必死に目を開けて歩く。少しすれば、アジトの入口らしきものがあった。



「他にもこんな入り口が6か所ある。此処はボンゴレの拠点として急ピッチで建造中だったんだ」



開かれた扉の向こうには、何もない広い空間が広がっていた。



「いまんとこ、6割がた出来てるってとこだな」


「すげーなボンゴレってのは。こんなこともできちまうんだな」


「いいこと教えてやろーか?お前がつくらせたんだぜ、ツナ」



その言葉に少し目を見開いたツナは、フッと笑うと、そーだろうなと呟いた。



「おい、あの装置はなんだ?」



廊下の奥にある装置。ジャンニー二が作った何かを遮るものらしい。



「うッ、うぐ……」



その装置をラルが通ると、呻き声を小さくあげて倒れた。それを見て、こちら側に居たツナが駆け寄ろうとする。
その背からカレンは急いで飛び降り、装置の1歩手前で立ち止まった。突然のことに綱吉は後ろを振り返る。



「どうしたんだ?カレン」


『……』


「ほら、来いよ。怖いことなんて何もないぞ?」



そう両手を広げる綱吉を見ても、カレンは行く気になれなかった。



「ああ、そうか…カレン達にとって外界とは違う作りになってるからな。体がショックを起こすのを、嫌がってるんだろ?」


『う…ってか何で、山本が知ってるの?』


「俺はこの時代に生きてるんだぜ?お前のこと、全て知ってるぜ」



となると、異世界から来たとか、アルコバレーノの真のボスってことも知ってるんだろうな。



『…綱吉、僕倒れると思うから構えてて』


「分かった」



覚悟を決めて装置の中に飛び込んだ。その瞬間、意識が闇に沈んだ。
あー、うん。あそこ行くまでには目ェ覚まさないとなぁ…
そんなことを考えながら。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ