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□標的44
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『う……ん?』
起きてみれば、またもや自分の部屋。おしゃぶりを確認し、部屋から出た。
『あれ、綱吉達。何処行くの?』
「お、カレン。起きたか」
部屋を出れば、ジャンニーニを先頭としたラル、綱吉、獄寺、山本、リボーンが居た。
「今からトレーニングルームに行くんだ。カレンもリングを持ってこい」
『あ、うん』
リボーンに説明され、再び部屋に戻りリングを持って出た。
〜トレーニングルーム〜
『うわ、広い』
「それでは私は再び修理に戻ります」
そう言って出ていったジャンニーニ。此処で何をするのか、もう覚えていない。
「修業の前に今一度問う。生半可ではついてこれないぞ。本当にやる気があるのか?」
「ああ!」
「やります!!」
「ったりめーだ。吠え面かくなよ!」
『…うん』
上から山本、綱吉、獄寺、そして僕。その言葉を聞いてラルはフッと笑ったように見えた。
「この時代はお前たちの生きていた10年前と違い、リングに炎を灯し、匣を開けることができなければ戦いにならない」
ラルは匣を一つ取り出す。
「運よく開匣できていたとしても、仕組みを知らねば意味はないしな」
それはきっと獄寺と僕のことだろう。
「まずはリングを理解しろ。リングに出来ることは2つ。リングそのものの力を使うか、匣を開けるか。
前者で言えばこの武器は、リングから発生した炎をそのまま射出している」
左腕に付いているものから光線のようなものが射出される。それは壁に当たり、壁には広範囲にヒビが入る。
「次に匣だが、匣とはリングの炎を別の作用や運動に変える装置だと考えろ。炎を電気に例えるなら、匣は電化製品といったところだ」
懐から2つの匣を取り出し、リングに炎を灯すと開匣する。出てきたのはムカデと気球のようなもの。
「種類は実に…多種多様。基本的にどの匣も最初に炎をチャージした分しか仕事はしない。炎が切れれば活動を停止する。
だが、開匣ののちに更にリングの炎をまとわせるタイプ。敵の炎を吸収してパワーアップするタイプも確認されている」
綱吉が戦った太猿という相手が持っていた匣と同じタイプの匣。なにも知らずによく生き残れたものだ。
「ここまでで分からないことはあるか?」
「あ…あの〜、1つもわかんねーんスけど」
「わかれ」
「山本ォ!!」
笑いながらそう言った山本に近づき、思いっきり殴り飛ばすラル。かなり吹っ飛んだ。
「オレの言ったことを何度も反復し、考えろ」
「(コイツ、鬼だ……)」
「(不条理だ……)」
綱吉と獄寺は心の中でそう思った。決して口には出さないが。
「では実践だ。沢田と獄寺、カレンはリングに炎を灯したと聞いたが」
「ああ」
「ったりめーよ!!」
『確かに出てた(アレ?でもなんか2つ出てたような…)』
「見せてみろ」
隣でぶつぶつ呟いている獄寺に見向きもしないで、簡単にリングに炎を灯せて見せたカレンと綱吉。
『あれ?(あのときは確か、黒と白の2色だったはず…)』
しかし、今リングから出ている炎は白の1色だけ。黒の炎など出ていない。
「っしゃあ!」
隣では獄寺も成功したようだ。
「へ―――覚悟を炎にってーと、こんな感じか?」
そう言った山本も、1発で炎を灯せて見せた。
「久しぶりに教官の血が騒ぎだしたか?お前今、エロい顔してたぞ」
「なっ、昔からお前は人のことを何でも見透かしたように……!」
「お前、不器用だけど分かりやすいからな。あん時もオレは、お前の気持ちの変化がお前以上に分かって…」
「だっ、黙れ!!」
向こうでケンカを始めた2人。大方、アルコバレーノになる前のことでも話しているのだろう。
『(それにしても、黒い炎って一体……)』