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□標的45
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ヴーッ ヴーッ ヴーッ
『…この音』
朝一番から、昨日ラルに言われたとおりに部屋でヒントを探していたカレンに、アジト全体に響くサイレンが聞こえてきた。
リングの謎に迫るものは出てきてはいないが、消えた記憶の断片を書きだしたメモ帳と、匣の説明が書かれた紙があった。
『確か、書いてあったはず………あった』
表紙を開いてすぐのところに“朝、サイレンが鳴る”と書いてあった。その下には“京子の脱走”とも書かれている。
『覚えているうちに、僕もこういうのを作っておけばよかったかな』
メモ帳と紙を上着の内ポケットにしまいこむと、急いでリボーン達が居るであろうモニター室へ向かった。
〜モニター室〜
モニター室に付くと、そこには僕を除く全員が集まっていた。目の前にある巨大なモニターには、周辺の地図が表示されている。
『さっきのは?』
「ヒバリの鳥からのSOS信号らしいぜ。にしてもヒバリの奴、並盛神社なんかで何してんだ?」
「信号が弱まってましたし、単に発信機のバッテリーが切れただけかもしれませんし」
「もしくは、敵に撃ち落とされたかもな」
「敵の罠だという線もある」
流石マフィアといったところか、リボーンとラルからはもっともな考えが出てきた。
「どっちみちヒバリの唯一の手がかりだ。指をくわえているわけにはいかねーだろーな」
「ですが、見てください。あの点が現在確認できるリングです。つまり、少なくとも地上にはこれだけの敵がいるわけです」
モニターには軽く10を超える点が存在していた。
「その中でひときわ強いリングが1つ。おそらく隊長クラス…精製度はA以上…」
「γだな」
「ガンマ…?」
「お前達が戦った、第三アフェランド隊隊長…電光のγ。名のある殺し屋とマフィア幹部を何人も葬った男だ」
「そんなにヤベー奴がいるのか?」
ラルの言った情報に嘘偽りはない。獄寺は平気だと言っているが、自主練したからと言って、どうこうなるような相手ではない。
「ツナさん!!」
そこへ入ってきたのは慌てた様子のハル。
「京子ちゃんがいないんです!!」
『(メモ帳の通りだ…)』
「書置きがあったんです!!“一度家に行ってきます。ランボくん達のおやつを貰ってくるね”……って…」
その言葉に、綱吉の表情が凍りつく。
「よほど了平のことが心配だったんだな…」
「今思えば、京子ちゃん…昨日、途中から急に元気が無くなって…」
やっぱり、気付いておくべきだったんだ。今更後悔しても、意味がない。
しかも、修理中だった出入り口を開いた形跡まであると言う。
「雲の守護者の鳥からの救援信号もある。今はどうするべきか総合的に判断すべきだ」
「総合的に……」
「この場合、最優先事項は京子を連れ戻すことだな。次にヒバードの探索および調査だ」
「笹川了平の妹が、まだ敵に捕まっていないと仮定して…できれば戦闘は避けたい。敵に見つからぬよう少数で連れ戻すのがベターだな」
「それはヒバード探索にも言える。少人数で動いた方がいいっス」
「んじゃ、いっそのこと二手に分かれて、両方いっぺんにやるってのはどーだ?」
『山本、綱吉は怪我をしてるし、そう簡単にはできないよ』
SOSが本物なら、ぐずぐずしてはいられない。誰かが危険な目にあっていることは確かなのだから。
「どーしましょうか、10代目」
「決めてくれよ、ツナ!」
「え、オレ?」
『当たり前でしょ。このアジトのボスは綱吉なんだから』
皆の視線が綱吉に集中する。
「オレも行く。京子ちゃんとヒバード、両方一緒に進めるぞ」
ラルと綱吉が作戦を決めている間、山本に時雨金時を渡し終えたリボーンのもとへ近づく。
『リボーン、此処の無線はイタリアの僕のファミリーのとことつながる?』
「分からねーが、夜中にこの時代のお前がここで誰かと話してるのを見た奴はいるらしいぞ」
『そっか……』
「アイラスのことが心配か?」
『そりゃそうに決まってるよ。僕の大切な、家族だからね』
笑うと、リボーンは視線を落とした。
「分担が決まった。オレとラルで京子ちゃんを追う。獄寺君と山本でヒバードを探して欲しい」
『僕は?』
「お前の実力ならどちらに付いても文句はない。お前もボスだ。自分で判断しろ。それに…お前にはこの先のことが見えているんじゃないか?」
ラルの言うとおり……とは言えない。先見の力なんて、僕の未来の記憶に付けたような能力名だ。
記憶が無くなっている今、そんな能力すらないし、先のことも分からない。
『(あ、あのメモ帳……)』
メモ帳を取り出し、“京子の脱走”の下を読む。そこには“獄寺と山本が大怪我”と書かれていた。
『僕は…獄寺と山本に付いてく』
「分かった。獄寺と山本とカレンはB出入口より神社へ。オレと沢田はD出入口より笹川宅へ向かう」
綱吉からの視線がなんか痛い……でも、決めたのは僕の意志。
「通信機はこの時代のお前達と共に失われた。そのため、今回はお互いの連絡が取れない。原則として戦闘は回避しろ。
それでも、もし回避不能な事態が起きた場合は……それぞれの判断で対処しろ」