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□標的45
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「ここ来ると思いだすよなー夏祭り!!あん時ゃヒバリと初めて一緒に戦ったっけかな。
こう思うとつくづくこの神社ってヒバリと縁があるのかもな」



突然走りだす獄寺。僕と山本は慌てて後を追い、木の陰に隠れる。



「なぁ、もしラル・ミルチの言ってた戦闘回避状態になったらどーする?そんときゃ、コンビプレイ決めよーぜ」



その言葉にも答えを返さず、走り出す獄寺。完全無視だが、山本は気づく気配すらしない。



「やっぱ武器からしてオレが前衛かな。オレがまず突っ込むからお前その隙に……」


「勘違いしてんじゃねーぞ」



いきなり山本の胸倉を掴む獄寺。いつも思うけど、仲悪すぎだよな、この2人。



「今までなーなーでやってたのは10代目のためだ。他の目的でてめーと手を組む気はねぇ!!」


「予想以上に嫌われてんのな」


「ったりめーだ。おめーみてーな悩みのねぇ能天気な野球バカは、一生口を利くはずのねぇ種類の人類だ。同じ空間に居るのも嫌だね!」


「………お前なぁ…」


『……2人とも、言い争ってる場合じゃないよ』


「だな。んじゃお互い、やりてーよーにやってみっか」


『そんなんで敵を倒せるわけない…………って、聞いてないし』



僕の忠告を聞く前に飛び出していった2人。地面にはボンゴレリングに巻き付けていたマモンチェーンが落ちていた。
辺りに潜んでいた敵は、ものの数分で全て、2人の手によって全滅した。




バチッ




『ッ!』


「ボンゴレの守護者ってのは、腰を抜かして方々へ逃げたって聞いたが、こりゃまたかわいいのが来たな」



雷に酷似した炎を足に纏わせ浮いていたのは、電光のγ本人。



「ボンゴレってのは、若返りの水でも飲んでんのか?」



地面に降り立つγに、獄寺が構えた。



「この減らず口はオレが倒す。お前ら手ぇ出すなよな」


「へいへい」



途端、あたりが爆煙に包まれる。相手の視界をたち、攻撃を仕掛ける作戦らしい。



「果てな」



火を噴いた獄寺の武器。しかし、γは無傷で立っていた。



「なに!?」


「効いてねぇ!!」


「そーいや、自己紹介がまだだったよな…オレはγってんだ。よろしくな」



2人のもとへ近づき、小声で話しかける。



『手を組んだ方がよくない?』


「カレンの言うとおりだ」


「っるせぇ」



そう持ちかけてはみたが、やはり失敗だったようだ。完全にキレた山本は、僕の手を引いて木の影に向かって歩き出した。
手は痛いほど強く握られていたが、マフィアの僕にはそんなに痛くは感じない。



『いいの?獄寺だけじゃボロボロに負けるのは目に見えてる』


「アイツがいいって言うんだ。好きにさせりゃいい」



あちゃー、こりゃ完全にキレたな。



『やっべ……』



向こうでは、先程から獄寺の呻き声とγの余裕たっぷりな声が聞こえてくる。攻撃音も半端じゃない。



『獄寺ッ……ッ!?』



止めを刺されそうな獄寺を助けに、木の陰から様子を見ていた僕が飛び出した時、その真横をすごい速さで駆け抜けた言った山本。
その行動に、場違いながらも笑みがこぼれる。やっぱり、山本は山本なのだ。



「てめっ、何しに」



全てを言い終える前に、後ろへと吹っ飛ばされる獄寺。受け止めることもできたけど……
僕だって多少なりと頭に来た。罰だと思って地面とコンニチハしててください。



「お前の腐った根性叩き直しに来た。どーにも腹の虫がおさまんねーからな」


「んだと!?」


『だから、獄寺はそこで大人しく伸びててってこと。っていうか、右腕ってさ、ボスが一番頼りにする人のことを言うんだよ。
つまり、守護者のリーダー的存在でもある。リーダーがそっぽ向いてたら話しになんない。今のお前に、右腕の資格はない』


「ってーことで、選手交代だ。わりーな、待たせちまって」


「いいや、なかなか甘酸っぱくて楽しかったぜ。年をとると相手の話を聞くのも悪くないと思えてくる」



ビリヤードの玉を突いた瞬間、僕は飛んだが山本は刀を構えた。その脇腹に、獄寺が蹴りを入れて弾く。



「感電して死にてーのか!おめーが死んだら、10代目が悲しむだろーが!」


「おいおい、ハーフタイムは1回きりだぜ。もう諦めな。お前達はここで死ぬんだ」


『確かに、あの二人は死んでただろうね。1人だったらの話だけど。だからこそ、ボスは2人を組ませたんだよ』



2人のもとへ降り立つ。



「…いつまで寝てやがる。山本、月城、連携であいつを叩くぞ」


「ああ、待ってたぜ!!」


『了解!』



メモ帳にこの先のことは書かれていない。

しかし、僕ばかり先のことが見えているのも不公平。

記憶があったとしても、その通りに進むとは限らない。


なら、まっさらなまま向かってぐほうが、たのしいじゃん!
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