U
□標的46
1ページ/3ページ
『で、どーするのさ』
「オレがぶっ放して奴の頭を押さえる。降りてきたところをぶった切れ。それでも駄目だったら、銃を乱射しろ」
『というとこは、僕の武器は銃だね』
2つのリングに巻き付いているマモンチェーンをはずす。
「オッケー、お前にしちゃ以外とアバウトだな」
「まずは………だ」
『じゃ、よーい、スタート!』
まずは、僕の掛け声に乗ってくれてありがとうございます。……て、そんなこと言ってる場合じゃないんだよね。
《ギッ》
山本がγを翻弄させるために放った燕が、ビリヤードの玉でやられた。僕も一応匣の準備だけはしておこうか。
ドウッ
今度は獄寺の武器。それを防いでいるγの背後で、ロケットボムが爆発する。当然、避けるためには地面に降りなくてはいけない。
「もらい!!」
「なるほど。アイデアはいい。惜しいな」
γが懐から取り出したのは匣。そこから現れたのは2匹の狐。
「近づけば感電死だ」
「ちっ」
「突っ込め山本!!」
『な、無茶な!』
「ああ!!」
一度はスピードを緩めたものの、再び加速する山本。獄寺はγの横から弾を発射し、炎を吹き飛ばした。
「時雨蒼燕流攻式八の型 篠突く雨!!」
見事に攻撃はヒット。γは後方に吹っ飛んだ。
「ふ―――やったな!ちいっとヒヤッとしたけどな」
「バーカ。右腕のオレといてヒヤッとすることなんてねーんだ」
隣で爆笑している山本を尻目に、カレンは腕を組んだ。あれほどの実力者が、あの攻撃でやられるとは思えない。
やられたフリをしたのか……だとしたら、一体何のために……
『っ!!伏せろっ!!』
突如襲ってきたのは、電撃をまとった玉。言ったタイミングが遅かったせいか、山本はモロに受けてしまった。
「そいつの刀が死ぬ気の炎をまとっていたなら、少しくらっていたな。さて、気になることがいくつか出てきた」
息を乱すでもなく、血を流すでもなく現れたγ。体には、先程開匣された狐が張り付いている。どうやらあれで攻撃を受け流したらしい。
「ボンゴレの10代目はいつ生き返ったのかな?お前らの若さにも驚いたが、それぐらいの情報操作はあり得る。
だが、ボンゴレの10代目が生きているとしたら、こいつはただ事じゃあない。奴が射殺されるところは、多くの同志が目撃してるしな」
獄寺の目が見開かれる。
「てめーら、よくも!!」
『待て、獄寺!!落ち着け!!』
「許さねぇ!!!」
感情のままに放った攻撃は隙が多い。渾身の一撃だったであろう赤炎の矢(フレイムアロー)も簡単にかわされ、逆に攻撃を受けた。
「ぐッ!」
身動きの取れない獄寺。なすすべなくやられていく。
「お前らの付けているリングには、見覚えがある。どういう冗談だ?」
「あぁあ!!」
骨の砕ける嫌な音がする。見るに耐えかね、出ていこうとしたカレンを横に居た山本が片手で制し、自らが向かった。
「拷問には1人いれば十分だ。お前は無用なんだ」
そう言い放つと、横で控えていた狐が山本を包み込んだ。当然、電撃付きで。
〜ミルフィオーレアジト〜
「大変です、入江様!!」
同時刻、ミルフィオーレのアジトでは、見覚えのある女性がとある人物を探していた。
「起きてください!!」
「わっ」
目的の人は寝ていた。女性は躊躇うことなくシーツを引きはがす。その勢いに乗り、ベッドから落ちる……男性。
「嫌になっちゃうんだけど、こういうの……」
「大変です入江様。レーダーに新規の精製度A以上のリングが4つ。ボンゴレリングかと」
「なんだって……?き…来たのか!!」
素早く身支度を整えると、女性とともに部屋を出る。
「なんで今まで見つからなかったんだ?いきなり神社に出現なんて…」
「レーダーが故障していたようです」
自律した複数のレーダーが一気に故障する確率は、限りなく0に近い。人為的なものだと考えるのが普通だ。
「内部の者の仕業だって言うのかい?」
「調査中です。……ただ、ブラックスペル第三部隊は、既に全員が並盛に展開しています」
ブラックスペルの第三部隊。それで思いつくのはあの男しかいない。そう、γただ一人。
「クソっ、あの男か!!」
「我々はいかがなさいますか?」
「白蘭さんに連絡しなきゃ……つぅ…」
「大丈夫ですか………?」
「おなかが…痛い…」
突然座り込む入江と呼ばれる男。
「(ついに7³ポリシーが始まったんだ。……彼らも来ているのだろうか?
沢田……綱吉に、
月城…カレン)」