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□標的47
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―13日後―
γとの交戦から早13日。カレンや獄寺、山本の傷は大方治り、綱吉だけ修行も開始されていた。
獄寺と山本と僕は今日から修業を始めると、リボーンが言っていたのを聞いた。
『先行ってるよ、綱吉』
「待って、今行く」
「「カレンちゃん!」」
綱吉のことを入口で待っていると、ハルと京子が慌てたように走ってきた。
「これ、あげます!!」
「私とハルちゃんで作ったんだよ!」
手渡されたのは小さなお守り。
『ありがとう、2人とも』
「いえいえ!」
「この頃怪我が多いから、心配で…」
『僕は大丈夫。じゃ、行ってくるね』
綱吉が来たので一緒にエレベーターで降りていった。
「なに貰ったんだ?」
『お守り。可愛いよね』
失くさないように上着の内ポケットにしまう。漸くトレーニングルームに付いたようだ。ドアが開くと、目の前には獄寺と山本が居た。
「よっ」
「おはよーございます、10代目!!」
「2人とも、怪我は大丈夫なのか?」
「完璧っス!!体がなまって困るほどです!」
それだけの元気があるのなら、心配する必要もないだろう。全員揃ったのを確認して、ラルが話し始める。
「4人とも揃ったな。予告通り、本日より新しい修業“強襲用個別強化プログラム”を開始する」
「個別強化?」
「この10日間、ツナがラル・ミルチに1体1で教えられていたように、1人に1人ずつ家庭教師を付け修行だ。たとえば俺が教えるのは、山本だぞ」
「リボーンが?大丈夫なのか?」
「ハヤトの担当は私よ」
「獄寺にはビアンキ…(こっちのが大変そうだな)」
「人の心配してねーで、お前は自分の修行に専念しやがれ」
リボーンが撃った弾は、ツナの額にクリーンヒット。額からはオレンジ色の炎が漏れ、その炎も、以前よりかなり大きくなっている。
「すげえ10代目!!また迫力が増してる!!」
「前とはまるで別人だな。またずいぶん差ーつけられたぜ」
「始めよう、ラル・ミルチ」
グローブを使い、ラルの近くに降り立つ綱吉。
「オレはお前の指導を降りる。つくのはカレンだ」
『僕?ラルが僕の家庭教師なんですか?』
「まぁ、そういうことだ。だが……」
その時だった。ただならぬ殺気が部屋に充満する。そして、綱吉と僕は攻撃された。
「!!」
『ちょ、いきなり何!?』
慌てて翼を出して空へと飛ぶ。向かってくるのは何か。
『これ、ハリネズミ?ってことは、雲雀さんの…』
「よく気づいたね、子狐。気を抜けば死ぬよ」
『ちょ、んな物騒な』
「君達の才能を、こじ開ける。赤ん坊から聞いた通りだ。僕の知るこの時代の君達には程遠いね」
ハリネズミは容赦なく追いかけてくる。綱吉はというと、グローブで凍らせている。が、雲の増殖に間に合わない。
たちまち覆われていき、綱吉の体が見えなくなっていく。
『(この試練受けるのって、綱吉だけじゃなかったっけ!?)』
何時までも逃げているわけにはいかないので、腕輪を刀に変形させてハリネズミを受け止めた。
ズウン……
重たい音が聞こえてきたため、そちらに顔を向けると、球針態が出来た後だった。
「よそ見をしているヒマはないよ、子狐」
『っ!しまった!!』
いつの間にか周りには紫色の針の付いたものが漂い、僕を包んでいく。
『氷龍ッ!』
「間に合わないよ」
氷龍が現れる前に、球針態は僕を包み込んだ。目の前に広がるのは、ただの暗闇。
『くっそ……』
リングに炎を灯し、陰に近付けても、塗装が剥げることすらない。
『(何をして、綱吉は何をして此処を出た!?)』
必死に思い出そうとしても、襲い来るのは激しい頭痛。
『(思い出せ、思い出せ、思い出すんだ!)』
あまりの痛さに涙を流し、歯を噛みしめながらも必死に思い出そうとする。しかし、ただ痛みが増すばかり。
「やめろぉおおおお!」
『あ、あ……(始まったんだ)』
炎の燃やしすぎで酸素も薄くなってきている。
ドガァンッ
きっとこの音は、綱吉の試練が終わった証拠。僕は、何をすればいい?そう思いながら、意識は闇に沈んだ。