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□標的48
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ドガァンッ



綱吉の試練から数分後、漸くカレンが包まれていた球針態が盛大に音を立てて壊れた。



「漸く終わったのか…。成功したのだろうな」


「いや、違うぞ。失敗だ」


「何故そう思う、リボーン」


「殺気が、尋常じゃねぇ程の殺気が…漏れている」



それは、一流の殺し屋であるリボーンでさえ、思わず身震いしてしまうほどの殺気だった。隣に居る雲雀も、戦闘態勢に入っている。



『どうしたの?皆。武器なんかかまえて』



煙の中から姿を現したのは、いつも通りの
カレン。



『綱吉、君も終わったの?』


「……」


『無視?ひどいよ』



クスクスと、口に手を当てて笑うカレン。



「違う、お前は……カレンじゃないな」


『何処をどう見て言ってるの?綱吉。僕のどこが違う?』


「何処ってわけじゃない。雰囲気が、違う」


「さっさと正体を現しやがれ」



耐えかねたリボーンが銃を一発鳴らす。弾は確実にカレンの右肩を狙っていた。が、弾は彼女の体に当たる前に、何かに弾かれた。



『こうもカンタンにバレるとは……驚いたよ。流石、天下のボンゴレと言ったところ?』


「お前は、誰だ」


『さっきも言っただろ?僕は僕。ま、正確には…“僕”に潜む、もう一人の俺と言ったトコロカ』



いつの間にか、両手には透明の刀が握られており、髪の色と瞳の色が変わっていく。



『……人ガ、一杯ダァ…』



片言で話す彼女は、もはやカレンの面影を残していなかった。



「カレンを………返せっ!」



先程手に入れたばかりの新しい武器で攻撃を仕掛ける綱吉。しかし。それは簡単に受け止められた。



「なっ!」


『俺ヲナメナイデ欲シイナ。ソレニ、コノ身体ハ“僕”ノモノデモアルンダヨ?傷ヲ付ケレバ、当然“僕”モ受ケル』


「ちいっ!」



こう言われてしまっては本気で戦えない。綱吉は一旦飛び上がり、リボーン達のもとへ降り立つ。



「アイツは一体…」


「子狐の心に巣食う悪魔」


「え?」


「この時代の彼女が、自分でそう言っていた。もっとも、この時代の彼女はアイツの力をモノにしていたけれど」



トンファーを構えながら話す雲雀。



「あれは、子狐の心の闇が作りだしたもう一つの人格さ。本気で攻撃しないと倒せない」


「でも、」


「甘っちょろいことは言ってらんねーぞ。アレを倒さない限り、カレンは戻ってこれねーんだ」


《その通りだ、アルコバレーノ》



突如目の前に現れたのは、いつか見た白い龍。



「創龍、だっけか?」


《カレンは眠りについた》


「どういうことだ」


《試練に耐えきれなかったのだ》


「どうすれば、カレンを取り戻せる」


《……心の闇を、消し去るほかない》


「それは、一体どうやって…!」


《ボンゴレ、お前に力なくしてはカレンは戻れない》



創龍は綱吉に近づき、尻尾の炎をグローブにかざした。



《今回は特別だ。オレの力を貸してやろう》


「これは……」



綱吉のグローブに、橙色のほかに白と黒の炎が灯った。



《白は再生。黒は破壊。まぁ、カレンは白が破壊と勘違いしているがな》


「…」


《それがその炎の力だ。うまく使え》



そう言い残し、創龍は消えた。



「出来るのか、ツナ」


「やってみるしかないだろ。カレンを取り戻すんだ」



再びカレンに向き直る綱吉。カレンは待ちくたびれたかのように肩を落とした。



『アンマリ俺ヲ待タセナイデクレナイカ?』


「…今助けてやるからな、カレン」


『何ヲ言ッテイル。漸ク外ニ出レタンダ』


「そんなこと、オレには関係ない」


『ソウカ、オ前モオレヲ邪魔スルンダナ。ナラ………殺シテヤル



本気の殺気が綱吉に浴びせられる。雲雀が思わず攻撃しようとすると、綱吉は片手でそれを制した。



「これは…オレがやります。ヒバリさんは手を出さないでください」


「…言うようになったね」



殺されるのを待っててあげるよ。そう呟くと、雲雀はトンファーをしまった。



「ありがとうございます」


『何話シテルノカ知ラナイガ…オ前ラノ命ハココデ終ワリダ。今度ハ前ノヨウニ邪魔サセナイ』



刀を構え、睨みを利かせるカレン。



『久シ振リノ殺シダ。楽シミダヨ。一杯悲鳴ヲ聞カセテクレヨ』


「これはもう、狂ってるな」



キャハハハハ、と笑うカレンを見て、リボーンは思わずそう呟いた。



「あれが……本当にカレンなのか?」


「信じるしかねぇだろ」


「しかし、アレは……!」


「ああ、間違いねぇ。7年前、オリテリッドファミリー残虐事件の犯人は、アイツだ」
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