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□標的50
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“オレ”のことも無事受け入れ、試練をクリアして現実に戻って来たときには、既に丸々2日たっていた。
改めて向こうとこっちの時間の流れ方が違うのだと思い知らされた。

それに、僕が寝ている間も修業は続いているわけで、それぞれパワーアップのために頑張っていた。
本日で3日目。初日から倒れたため、ちゃんとやったのは今日と言ったところだろうか。



「今日もごちそうさまの前に寝ちゃったね」


『今日も…毎日なの?』


「そうなんです!新しい修業が始まってからいつもこうで…それに、獄寺さんはいつもあっちで食べてるんですよ」


『あ、洗いもの手伝うよ』



ちなみに今は夕食。隣に座っている綱吉とその隣の山本は、箸を持ったまま寝てしまっていた。



「うまくいってねーのか?」


「ええ…1分間にやっと2匹…。何よりあの子、やる気があるのかないのか…」



その話題の中心の獄寺は、先程部屋から出て行っていた。



「お前と獄寺は例の件もあるし水と油だとは思っていたが、やはりこの修行の組み合わせは無理があったのかもな」


「軟弱なのよ。あの子のことは最後まで見させてください。先にお風呂いただきます」


「ああ」



そのまま出て行ってしまったビアンキ。例の件……まだ解決してないんだな。



「洗いモノ終了!じゃあリボーン君!」


「ハル達もお風呂入ってきますね♪」


「ごくろーだったな。ツナと山本はオレが起こすから任せとけ」


「分かりました。カレンちゃんもどうですか?」


『僕はまだいい。先に入って来ちゃって』


「じゃ、行ってきますね!」



笑いあいながら出ていく2人。やっぱり一緒に入ればよかったかもと、ちょっぴり後悔した。
だが、記憶が戻ってきたため、この後の話は聞き逃せない。ズレが生じているかの確認にもなる。



「…そーいや、ビアンキと獄寺の例の件って何だよ」


「何だ、起きてたのか」


「まぁね。で、なんなの?」


「しょーがねーな…獄寺ん家はマフィアで父親がボスなんだが、獄寺はビアンキとは違う母親から生まれたんだ。
獄寺の母親は正式な妻じゃなくってな。何かと待遇がひどかったらしい。最後は父親の組織の者に消されたって噂だ」


「消されたって、獄寺のお母さんがか?」


「獄寺の母親はまだ若く駆け出しだったが、将来を嘱望された才能のあるピアニストでな、大変な美貌の持ち主でもあった」



そんな彼女にビアンキの父親は一目惚れし、妻子ある身でありながら強引に口説き落した。



『…最悪だな、父親』



やがて2人は付き合い始め、彼女は赤ん坊を身ごもり出産した。それが獄寺だ。
だが、妻でない女との間の子供がマフィア界では決して許されず、獄寺はビアンキの母親はとの子供と公表された。
獄寺の母親は年に3日しか子供と会うことを許されず、ピアニストとしての将来も奪われた。

そして、獄寺の3歳の誕生日の5日後…誕生祝いの密会を許され、組織が所有する山奥の別荘に向かう彼女の車は…
あり得ない場所で謎の転落をした。タイヤ痕は一切なかったという…彼女は即死した。幼い獄寺を残してな。
自殺のの線も疑われたが、彼女はこの日を心待ちにしていたふしがあり、車内からもプレゼントが発見されている…
獄寺がそれからそのことを知るのは城を飛び出す前日。お手伝い達の噂話を偶然聞いてしまう8歳の時のことだ…



「何それ、そんなひどい話獄寺は一言も…」


「それであいつ、家庭がドロドロのグチャグチャだって…」


「山本、起きてたのか」


「途中からな」



お茶を入れて渡してくれた山本に礼を言いつつ、ちょっと前世の自分の家庭を思い出す。
僕の場合は助け出されたけど、まぁ、暴力をふるわれてなかった分獄寺はいい方だと思う。



『…似たようなもんか』


「何がだ?」


『いや、こっちの話』


「いいから教えろよ」



ツナが真っ黒いものを背負いながらやって来た。逆らえない…!



『…僕の家庭も、似たようなものかなぁ…と』


「ああ…リング戦の時に言ってたな。捨て子だったんだよな………悪ぃ」


『大丈夫。どうしたってその事実に変わりはないんだからさ。それに、嬉しかった』



そう。此処は前の世界よりもいい。母さんは優しい。家族の愛情というものを知れた。



「何が嬉しいんだ?」


『家族を知れたから』


「…どーいうことだ?まるで、知らなかったような口ぶりじゃねぇか。お前は植物状態で、外のことを知らなかったはずだぞ」


『…時が来たら詳しく話すよ』



今ははぐらかすだけ。しょうがないよな。



『じゃ、僕もお風呂入ってこようかな…あ、ランボ。お風呂どうだった?』


「今ねぇ、オフロの中ねぇ、おっぱいがいっぱい」



山本は湯呑を落とした。うん、あってる。でも綱吉は……



「…ランボ、そう言うのは言うもんじゃねぇ」



なんか違う。お茶吹いてない。



『ランボ………』


「カレンのは『見せないから』何だとー!」


『じゃ、入ってくるんで。リボーン、ランボ入ってこないよう見といて』


「任せとけ」



自分の部屋に入り、おしゃぶりとリングをはずす。



『…凪、今頃グロと……』










〜黒曜ヘルシーランド〜




「(骸様……何が……どうなってるの…?犬……千種……)」



カレンの予想通り黒曜ヘルシーランドに居たクローム。突然未来に飛ばされてきたため、状況を理解しきれていない。



「まさか再び相見えるのが10年前の姿とはな」



そこへ響いた男の声と鳥の羽音。



「あったあーった本当ににあった、クローム髑髏試食会場」



長髪眼鏡の男は、そう言った。
 

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