泣けない鎮魂唱。
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太陽サンサン。
雲もくもく。
良い天気の証拠。
だけど俺の心は、
雨ザーザー。
暗雲どんより。
「りゅーたんりゅーたん、りゅーたーんvV」
「Σちょっと夏目さんッ!!??
龍牙様の邪魔しないでくださいますッ!!??」
「えー、邪魔なんてしてないよー。
ねーりゅーたん☆」
「してますわッ!!!
十分してらっしゃいますわッ!!!
龍牙様ッ!!??
邪魔なら邪魔だとおっしゃらないと、この方言うこと聞きませんわよ!!!!」
『朝から元気だな…お前ら…』
in.俺の部屋。
もちろん朝ご飯はいつも通りラウンジでとり、休日の今日はどちらの学校も休みで、部活の指導は午後からとなっているために午前中は勉強でもするか、と部屋に向かった。
休日のほとんどは一緒の部屋で過ごすことがデフォになってきた優飛はというと、俺の部屋で読書をしていて。
その近くにあるデスクの上で、俺は教科書と幾冊もの文献を広げて眼鏡をかけ、前髪を上げピンでとめた状態で勉強に励む。
開けはなった窓からはそよそよ…と心地いい春の風が吹いてくる。
だんだんと桜の花は散り、新緑が見え始め、季節は夏に移行していく。
いい天気だなぁ…と、思うまでは良かったんだ。
そこまでは凄く平和だったんだ。
…なのに。
な の に ッ !!!
何故こうなった。
『ねーねー、そろそろ俺の背中からどいてくれない?』
「やだー」
『Σやだって、えッ!!??
どけよ、勉強させろよッ!!!』
「そうですわ!!
早くおどきになってくださいませぇえぇぇぇ〜…ッ!!!」
「いーやー!!
僕と遊んでよりゅーたーんッ!!!」
『絶対やだ!!!』
俺の背中にうなだれるように圧し掛かった状態の夏目。
何故か両腕は俺の首にまわされていて、夏目を引き離そうと引っぱる優飛のおかげでくい込んできて非常に苦しい。
俺もバシバシと腕を叩くがまったく効果が無いのか、夏目自体も腕に力を込めてくるものだから、余計に俺の首は締まっていくわけで…。
あ…目の前が真っ白になってきた…。
『ぁ…落ちるわ〜…俺ぇ…(バタン』
「Σきゃぁあぁぁぁッ!!!??
龍牙様ぁあぁぁあぁぁッ!!??
しっかりしてくださいましいぃいぃいいいぃいぃッ」
「Σぇッ、ちょっとりゅーたんッ!!??」
背中にのしかかる夏目の体重+重力に負けて、机へガツンッと音をたてて額からぶっ倒れる俺。
だんだん少なくなっていく酸素に落ちる事を予想していたが、久しぶりに絞めて落とされる感覚のせいで、すぐに意識を戻せなかった。
遠くなっていく声に、あぁ…暫く起きられないな…俺、と思いながらも思考さへも真っ白になっていった。
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