泣けない鎮魂唱。
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…翌日。
見事俺の熱は下がって、頭の痛さもひいた。
ただ、喉がまだちょっと痛むが…。
まぁでも日常生活を過ごす分には大した支障もないだろうなー、と思ってたから学校に行く準備をしてドアを開けたまでは良かったんだ。
…うん、その後はデジャビュだよ。
皆の思う通り。
何故か外で笑顔の優飛が待機していて、無理やりベットまで強制送還された。
もちろん、寝巻に着替えさせらた。
さすがにベットに押し込まれるのは…抵抗したけど…。
そこまでもう悪くないし…。
「だからといって、まだ病み上がりなんですわよ!!??
今日一日は安静にしていてくださいまし!!!」
『わ〜かったってぇ…;
ちゃんと安静にしてるし、騒がないし、運動もしたりしないから…
起きてても良いだろー?…;』
むしろ今の時間から学校になんていけない…。
現時刻、午後12時をとうに過ぎて13時過ぎ。
…朝起きたんだよ、ちゃんと。
今日は丸々一日、大学で講義な日だったからいつもより遅めに起きたのがいけなかったらしい…。
起床時間は8時で、そっから準備して8時30分。
んで授業開始は9時30分。
余裕で間に合うのに…あそこで捕まってお説教くらわなければ…。
くっそぉ…悔しい…。
…ちょっとまて…俺どんだけお説教くらってたんだ…。
「…分かりました、絶 対外に出たりしたら許しませんからね」
『………はい;』
…うわああああああ!!!
今 日 一 日 何 し て 過 ご せ と !!??
…病み上がりなんて、嫌いだ。
『…暇だ……』
絶賛暇タイムな俺。
・動くな
・騒ぐな
・外へ出るな
という三禁をくらってしまい、どうしたものかとぷらぷらマンション内を歩いて、たどり着いたのは屋上テラス。
真っ白なベンチに腰掛けて、空を仰ぐと真っ青な空。
今の季節はもう桜が散ってしまい、新緑がチラチラと見え始めてる。
俺の誕生日も過ぎて、見事に俺もあとひとつ歳をとれば成人。
成人っていわれても、なんだか実感がわかない。
多分きっと、このままあっと言う間に一年たって、そして歳をとる。
そんで成人して、大人の自覚なんて芽生えずにそのまま過ごすと思う。
成人したんだからもう大人なんだから、って言われてもなぁ…。
周りにいる成人している奴らは、どっちかっていうと大人の自覚なんてもってない奴らばかりだと思うし…。
いや、っていうか…純粋に大人になった奴ら?…かな。
まったくもってないなんてことは、ないかな。
『………』
純粋な大人かぁ…。
いいよなぁ、子供のころの純粋な気持ちもったまま大人になるって。
俺もそうなりたいなぁ…。
そんな事を思いながらポケットから取り出した携帯を、カチカチと打っていく。
暫くして画面に表示された「送信完了」の文字。
小さくため息をついて、ベンチの開いたスペースに置いた。
こうやって1人になることなんて久々だからなぁ…。
多分メールも授業中とかだったら帰って来ないだろうし…。
そう思った俺は少しだけ深く腰掛け、目をつぶった。
ぽかぽかとした陽気がとても心地いい。
――――ッブー…ッブー…ッブー…
…なんだよ…人がせっかく寝ようと思ってたのに…。
鳴り響くバイブ音。
それはまさしく俺の携帯からの音。
パチン、と音をさせながら携帯を開けば表示されていたのはメールのマーク。
なんだ、もう返ってきたのか?と思いフォルダを開くと、知らないアドレス。
『…なんだ、これ…』
不審に思って開いたメール。
そこには書かれていたのは、読みにくいカタカナの文字。
○/◎/● 13:45
From:〜〜〜〜〜〜〜
Sub:無題
――――――――――
気ヲツケナキャ
ダメダヨ
君ノ心ハ弱イノダカラ
『……』
弱いって…何だよ…。
意味分かんねぇ…気持ち悪いし。
『つか誰だよ…お前。
俺がメール送ったのは連勝だっての』
思わず携帯を叩きつけたい衝動にかられるが…。
正直言って、お前悪くないもんな、携帯。
お前は純粋に、ただお前の全うする役目を果たしただけだもんな。
…そうだよな…お前も辛かったよな…クッ。
ごめんなぁ…携帯…。
そっと、携帯を撫でながら涙を流す俺。
…あー…待て待て……。
『どう見ても痛い子だ…』
………どうした俺…ッ!!!
どうやら…熱のせいで頭がおかしくなったようだ…。
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