短編
□矛盾じぇらしー。
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1月9日。
私にとって特別な日。
とってもとっても大切な人の誕生日。
だからずっと一緒にいたいし、ずっと「好きだよ」って言っていたい。
プレゼントだってあげたい。
しかも真っ先に。
誰よりも私が一番に言ってあげたいの。
「お誕生日おめでとう」って。
だけど、私は彼の一番にはなれない。
絶対に。
ずっと好きでいてもなれない。
だって彼には"永遠に大切な人"がいるんだもの。
ず〜っと彼が愛し続けた人。
一途に思って、思って思って想ったから。
『…貴女が羨ましいわ、リリー。』
私はまだそっちには逝けない。
だって私の<物語>(いのち)のページはつきていないんだもの。
大切な人の瞳をもって生まれた子を守り抜いた貴方は、きっと彼女の側で彼女と一緒に笑っているのでしょうね。
私には見せたことのない素敵な笑顔で。
ずっとしかめっ面だった彼を思い出す。
それでも大好き"だった"。
『あまりリリーの側で笑わない方がいいわよ?セブルス…
ジェームスが怒りだすわ、きっと…』
空を仰いで呟くと風がふわりと駆け抜ける。
…心配ないとでも言いたいのかしら。
フッと笑い、下を向く。
真っ白な十字架。
真っ白な百合の花に黒いリボンの花束を。
...最後の<伝言>...
(誕生日おめでとう)
(ずっと好きだった)
(これからも好きよ)
(私モ永遠ニ貴方ヲ愛ス)
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