短編
□休日の昼下がり
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―――よし、放っておこう。
少々暑いのは我慢して、俺は本に意識を戻した。
……………。
……………………。
いや、これは気づかない訳にはいかないだろう。
「野分…………」
「はい、何ですか?」
「…………何か当たってんだけど」
「だってヒロさんに触ってるから」
「何昼間から盛ってんだよ」
「恋人と一緒にいてそんな気にならない男はいないですよ」
…………それもそうか。
って!!
うっかり納得しそうになったじゃねえか!!
ん?ちょっと待てよ。
俺も一応恋人と一緒にいる男なわけで………。
意識したら、急に恥ずかしくなってきてカッと頬が火照った。
「ヒロさんかわいい」
「かわいい言うな!!」
くすっと笑い混じりに言われた言葉に、俺は本を置いて体の向きを変え、野分を睨みつけた。
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