短編

□M大のとある日常
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(うぅ………行きたくない…………)


高橋美咲は半泣きの状態で廊下を歩いていた。


鬼の上條から呼び出しをくらったのだ。

レポートに名前を書き忘れていたのだから、全面的に美咲が悪い。
悪いのだが、以前レポートに名前を書き忘れたやつが書き直しをさせられたとかいう噂をきき、美咲は本気で泣きたかった。


どうしても逃げたかったが、逃げたら逃げたで後々もっとひどいことになりそうだったので、とぼとぼと上條の研究室に向かっている。


と、上條の研究室の前でよく見知った顔を見つけた。


「あれ、ウサギさん?」

「美咲……」


タタタッと美咲は秋彦に走り寄る。


「何してんの?」

「何ってちょっと用事」

「用事って上條に?」

「ああ」




よっしゃー!!!!

天からの助け!!!!

神はまだ俺を見放していなかった!!!!




「一緒に入ろっ!!」

ウサギさんが一緒となれば幾分か入りやすい。

美咲の必死な(必死すぎる)様子に秋彦は首を傾げながらも頷いた。


なぜ秋彦が上條に用事が、どんな関係なのか、という至極当たり前の疑問は全く頭になかった。


「ウサギさん」

「なんだ」

「今日の晩ご飯は俺気合い入れて作ってあげるから」

「………ありがとうと言うべきなんだな?」

「もちろん。………しっ失礼しまーす」


とは言っても多少ビビりつつ、美咲は扉に手をかけた。





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