短編
□M大のとある日常
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「あいたたたた」
「ヒロさん大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。お前は?」
むしろ本雪崩から弘樹を庇った野分が心配だ。
「大丈夫です」
カチャ
ちょうどその時、消え入りそうな「失礼します」の言葉と共に扉が開いた。
空気が固まった。
扉の前には、幼なじみと、呼び出しをかけていたおっちょこちょいな生徒。
「………………」
「………………」
「………………」
「………………あわわ、失礼しましたっ!!」
「すまん、お楽しみ中だったか」
床に頭が付くのではというくらい生徒は頭を下げ、秋彦の腕を取って慌ただしく出て行った。
「……………」
「……………」
残された2人。
端から見れば、弘樹が押し倒されているようにしか見えない今の状況。
しばらく無言で見つめ合っていたが弘樹は状態を理解した瞬間、野分に頭突きをかました。
「い゛っ……」
「秋彦はまあ置いといて、生徒に変な誤解されたじゃねえかっ!!」
「ええっ俺のせいですかっ!?」
「当たり前だ!!弁当置いて帰りやがれっ!!」
「ヒロさん!!」
さっきまでの甘い空気はどこへやら、頭突きから始まった痴話喧嘩は、宮城教授が止めに来るまで続いた。
end.