短編

□あなたが、はじめて
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どうしよう。
うれしい、うれしい、うれしい。

腕の中には、愛しい、愛しい人。

告白をしたら、赤い顔で頷いてくれて。
そして、そのまま俺はヒロさんを抱いたのだ。
はじめてだったし、俺の動きはぎこちなかっただろうが、ヒロさんは全部受け入れてくれて。
それで、つい無理をさせてしまったみたいだ。
ヒロさんはぐったり疲れた様子で、俺の腕の中で眠っている。


「あッ……の…のわき…」


矯声の中、俺の名前を呼んでくれた。彼の名前じゃなく、俺の名前。
それが何よりうれしくて。
自分の名前が、大好きになった。


嫉妬、独占欲。
そんな感情はあなたに出会って初めて知って。

大好きな人の重みは、こんなにも暖かいものなのかと、今初めて知って。

あなたを愛することが誇らしくて、胸の奥が熱くなる。

あなたの全てが愛しくて、なぜか少し、泣きたくなる。



全部、全部、あなたがはじめて。






end

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