短編

□溺愛
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「あっ……もう…んッ…」

潤んだ瞳で見上げられ、必死でしがみついてくるのがかわいい。

「も……ムリだって…やっ…」

ごめんなさい。
それは聞いてあげられそうにありません。

何度も突き上げて揺さぶり、真っ白な肌に噛みつく。
口では嫌がっていても、俺が求めれば必死で応えてくれる。

乱れても、乱されても美しい人。

少しずつ体を開いて。
いつもより素直になって、理性も何もかも吹き飛ばして、俺を求めてくれる。

この瞬間だけは、彼を独り占めできる気がする。
一つになれる気がする。

俺だけを見て。

「んっ……」

乱暴に唇を重ねて、散々貪って、愛しい瞳に俺だけが映っているのを確認する。

俺だけの。

快感。

優越感。
征服感。
焦燥感。

もどかしさ。
少しの寂しさ。

あなたがまだ足りない。
あなたで満たして欲しい。

感情が溢れ出す。
そしてそれは、一つの大きな感情となってあなたに流れ出す。

好き。
好き。
大好き。
愛してる。

好きで好きでどうしようもない。
愛しくて愛しくて仕方がない。

「………のわき…」

あなたから零れ落ちたのは俺の名前。


ほら、またあなたに溺れていく。





end.

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