短編

□rely on me
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「うわっびっくりしたっ……いるなら電気くらい付けろ」

帰ってくると、珍しく野分がいた。真っ暗な部屋の中、ソファーに座り込んでいた。

「あ……ヒロさん、お帰りなさい」

野分はそう言ったきり、ソファーに沈み込んだ。
弘樹は眉をひそめた。

……おかしい。

いつもならうっとおしいくらい構ってくるのに。

「おい、野分。何かあったのか?」

弘樹は荷物を適当に放り出し、野分の横にどかっと座った。

「いえ、何でもないんです……」

「うそつけ。何でもある顔してるぞ」

仕事の疲れにしても、野分は明らかに顔色が悪かった。

「ヒロさん……」

急に、強く抱きしめられる。
いつもなら離せと大騒ぎするところだが、今日はそうしない方がいい気がして、弘樹はされるがままになっていた。

「あんまり無理するなよ。お前ちょっと鈍いんだからさ」

ぽんっと頭を撫でてやる。

「………はい」

野分はそれだけ言って、さらにきつく弘樹を抱きしめた。

(だめだ。今日のはかなり重傷だ)

「言いたくないならいいけど、俺でよかったら聞くぞ」

弘樹も野分の背中に腕を回した。野分は少し震えていた。

「あの………」

「うん?」



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