Dream 2

□斎藤さんと進撃のにゃんこ
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斎藤さんに、にゃんこアタックします!








私は雪村桜


父さま探しに京までやってきました


でも まさかまさか




自分が猫になるとは思ってなかったなぁー…




しょうがない



ここは前向きにいこう!



おや?



大きな建物と門だ




確かここは……


新選組……とかって言う

[ちょっと危ない人たちの集まりだわさぁ]

って通りすぎのおばあちゃんが言ってたところだ!



はやく離れて、今日の寝床を探さなきゃ!!


ん?


いい匂い…


あぁ、もう夕飯の時間か


お魚の匂い…いいなぁ


ちょっとだけ覗いてみよう、ちょっとだけ!


いくら危ない人でも、にゃんこをいきなり斬り付ける人はいないはず


さて、お台所は……こっちか







「あれ。猫じゃん、どっから入って来たんだぁ?」


「にゃあ!」


やった!


優しそうな男の子だよ!


「どうした平助………あぁ、猫か」


墨色の着物



ほんのり猫っ毛で



右肩からはらりとなびく、


一束の髪



優しそうで



どこか憂いを含んでいる



切れ長の瞳







!!!




桜にゃんこさんの心はがっしり捕獲されたよ!


ナニコノ素晴らしい男性は!!


もう胸の高鳴りが…!


「にゃぁ!」


「一くん、懐かれちゃったね」


なるほど


この人は一さんというのか!


一さーん!


「にゃぁん!」


「こ、こら、今は夕飯を運ばねば」


「大丈夫だよ、はじめくん。
運ぶのなら、俺ひとりでもできるから、猫と少しだけ遊んだら?」


少年、良い事言ったよ!


「……いや、今日は俺も当番だからな」


えー!!


「そっか…じゃあ運んじゃおーぜ」


「ああ」


一さん…


自分の仕事をきちんとこなすひとなんだ


かっこいい…!


「……ぉぃ」



ん?

一さんが何か言って……?


「また、機会があれば来ると良い」(なでなで)

あ、頭なでなでしてもらっちゃった

しかも小さなメザシ[魚]ももらってしまった


「にゃー……」

なんて優しい人…一さん

大好きです







その頃――――


「あれ?俺のメザシ…新ぱっつぁん食ったな!」


「え?俺食ったっけ?」


濡れ衣。






はぁ………


とりあえず今日は敷地内で寝させて貰おう


あ、一さんの匂い…!←…猫なのに…


こっちかな?






「ダメだと言って……ほら、向こうに行け…」


……あ、他の女(猫)…

そうだよね


一さんかっこいいもん

他の女(猫)と仲良くしてたって、おかしくない



でもあの子は追い返されて……?

「……にゃあんっ」


行っちゃった…

きっとここで猫は飼えないんだ



じゃあ私もきっと追い返される…?

人間ならきっと一さんのこと知らずに生きてた


でも猫じゃ…


「ん?」


あああ、見つかった!


隠れなきゃ!





「…こっちにいたと思ったんだが…」


うぁ、びっくりした


でも、どうしよう?

どうしたら人間に戻れるのだろうか


父様……どこにいるの?


私にはわからないよ


ただ今だけでも、彼のそばに居たい


もっと


もっともっとたくさん一さんのこと知りたい



そうだ!!



一さんの部屋に忍び込んでみよう



匂いをたどって…







ここか


幸いまだ彼は戻っていないようだ


襖の隙間を…この私の短い手足を…



………よいしょ



侵入成功


机の下にでも隠れておこう







次の日――――


(副長に頼まれた文を書かねば)


「むにゃむにゃ…」


(ん?何処からか声が?)


むにゅっ!!!!



「にゃあっ!しっぽ踏まれた!」


「ね、猫が、しゃべった?」


「え?」


まさか私、普通にしゃべってる?


まさかのしゃべる猫?


「わ、私の言葉、分かるんですか?」


「ああ」


「えー、あ、その、あの」


なんかいわなきゃ!


「私の名前は桜です!
あなたの邪魔はいたしません!
だからお側に置いて下さい!」


わぉ!我ながら大胆なこと言っちゃったぁぁぁぁ!


でも人間だったら恥ずかしくて絶対言えない


「……ふ、副長に、指示を仰がねば…」


一さんが、取り乱してる


かっこいい…








「はぁっ?何言ってんだ斎藤」


一さんは斎藤さんなのか


斎藤一さん


「その、ですから」


で、この人が副長か


良い男だな


「新しい入隊希望者?
こんなときにか?
悪い冗談はやめろ」


「いえ、本人の意思は固く、きっと偵察等に向いているかと」


「はっ…まぁ良いそいつを連れてこい」


人間にいつかもどれるかな


「桜、来い」


「にゃあっ」


あ、はいって言おうとしたのになごりで間違えちゃった


「………おい斎藤、俺の眼には猫が映っているんだが」


「はい、猫です。桜、この人が土方副長だ」


にゃあって言わないように……


「はじめまして、土方副長。桜と申します」


副長は固まった


一さんを見上げて指示を仰ぐ


やっと京での居場所が見つかるかと思ったけれど…少しだけ泣きそうです


「……やっぱり私なんかじゃダメなのでしょうか?」


「な、泣くな桜…もし隊士が無理でも庭掃除や………」


「桜、といったな。
お前は一体何なんだ」


何か、と言われれば


「猫です」


「何故言葉を話せる?」


「なぜでしょう、私にもさっぱり」


人だったことは直接の原因ではないように思える


「何故屯所内に侵入した?
今、京の町でここいらに近づく奴なんて皆無だぞ?」


「私、江戸から先日来たばかりで…」


お魚の匂いにつられたとか絶対言えない……!!!


「何用で?」


「人を探しに京まできました」


「………そいつの名は?」


「雪村綱道と申します」


土方さんの顔から、血の気が失せていったのは


目に明らかだった


「……桜と言ったな?」


私、何かした?


「はい」


「斎藤」


「はい」


「ちゃんと面倒みるんだぞ」


面倒って……


「お心遣い、感謝します」


とりあえず安心


「ありがとうございます!」


「ただし、一般の隊士の前とか、外では喋んなよ」

いいながら土方さんは私の背中を撫ででくれた


「………にゃあ!」


「ちょっと近藤さんに大まかに話すが、まぁ悪い方向にはいかないだろう」


「あの、私の探し人をご存じなのですか?」


「…………それについては……」


うぅ、凄く言い辛そう


でも気になる


ガラッ――――


「それについてはこの近藤勇が――って猫?!」


勢いよく襖が開くと、近藤局長を名乗る男性が現れた!


「桜、この人が近藤さんだ」


「は、はじめまして!」


「ぁ、ぃゃ、こちらこそよろしく!」


なんか雰囲気が柔らかい人だな


「えーと、単刀直入に説明すると、綱道さんは我々新選組と協力体制にあった……しかし、突然行方不明となってしまったのだ…」


「行方不明……」


「そういうことだ、桜。」
 

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