Dream 2

□咳と遊女と沖田の話。 
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僕にも明日は来るんだろうか、と彼は笑いながら言った。



簪を揺らした桜は言葉を詰まらせたのか、返事の代わりに笑い返した。



それに満足した彼が桜の額に小さく口づければ、桜は頬を染めて。



「沖田様、本日の体調は?」



「いいでしょ、別に」



「吉原から出る事も出来ない遊女に相談事等無いと?」



「違うよ、桜。
僕を心配した君が、此処を抜け出して助けに来ないか、心配なんだよ」



「助けに参りたいのは山々ですが、ご安心を。
沖田様のお望みにないのであればそんなことは致しませんし、抜け出すなんて無粋な真似も致しません」



言いながら桜は膳を片付け、徳利のみを手元に残し、彼の猪口に酒を注いだ。



「…しばらく君に会うのは、いや、外を出歩くのは控えようと思う」



「それは…、やはり御療養ですか?」



「うん。咳が出始めたから、近藤さんが心配するんだ」



会えなくなる寂しさを誤魔化すように冗談めかしく彼は笑った。



「では、また良くなりましたら…いらして下さいね」



この時、彼の症状は風邪によく似た初期段階で。



桜もすぐ治るだろうと考えながら言葉を返した。




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