短編SS

短編SSです
傾向表記にご注意ください
◆\執 事パ ロデ ィ! / 

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  Who is your butlar ?

 (あなたの執事はだあれ?)

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 √土方(恋人/裏)
 …馬鹿、声がでけェ…静かに、な?服の上から撫でただけで、ココはもうこんなにヤらしい音させて。随分と感度が上がってきたな…俺が構ってやれない時に自分でヤってるお陰だな。しらを切るつもりか?夜中、屋敷を巡回してたら聞こえたぞ…お前の悦い声。なんてな、嘘に決まってんだろ。お前が鳴いていいのは俺の腕の中だけ、だろ?




 √沖田(溺愛/甘)
 はじめまして、なんて、言わせないよ。まさか覚えてないとか言わないよね?…そう、君がまだ小さい頃に此処でよく遊んだよね。奥方さまは珍しく寛容な方で…君が泥まみれになっても、元気なのは良いことだって褒めていたね。一身上の理由で、職を離れないといけなくなったのは辛かったよ。この家族と、そして君が大好きだったから。でも、戻ってきたよ…君が寂しくないように、僕がたくさん遊んであげますよ、お嬢様。




 √斎藤(両片想い/切)
 おひとりで屋敷を抜け出すなど…絶対に駄目、です。どうしてそのようなことを…。確かに俺はアンタに少しばかり甘いかもしれないが、危険をかえりみず、外になんて出せるわけが無いだろう。…俺と一緒に、外へ…?だ、駄目だと言っているだろう、いくら俺が一緒でも…、俺がアンタを守る盾となれるなら…いや、駄目、だから、な。




 √藤堂(恋人未満/甘)
 あー…暇だなー…ご主人様も奥方様も外出なさったし…って、…え、あれ?どうしてお嬢さまが此処に…ッ!ダメだろ、こんなところに来たら!寂しかったって…確かに最近は直接顔合わせること、少なかったな。でも俺はこの屋敷にずっといるんだから、心配すんな。何かあれば呼んでくれ!…ありがとうってお前に言われると嬉しい。いや、どんなに短い言葉でもいい。俺に向けて言ってくれれば、何だって、さ。




 √原田(夫婦/甘)
 なあ、いい加減に機嫌直せよ。未だに癖でお嬢様、なんて呼んじまうのはしょうがないだろ…お前が小さい頃から何十年とそう呼んできたんだからよ。それに、俺がお嬢様なんて呼ぶのはお前だけだし、お前を名前で呼ぶのだって俺だけだろ?…呼ばないように気をつけるから、許してくれよ。




 √風間(溺愛/微裏)
 やはり此方も捨て難い…お前は何を着せても似合うのだから困ったものだ。ん?…これは数ヶ月前に寸法をはかって作ったものだったな。何故ふぁすなーが上手くあがらず、きついのだ。腰回りも腹部も問題無いな…胸囲か?なんだ、突然顔を赤く染めて。俺がほぼ毎日欠かさず育ててやった甲斐があったな。…何故恥じらいながら怒る、太った訳では無いだろう。手触りがいいのだから毎日触りたくなるのだ、しょうがないだろう。




 √山崎(恋人/甘)
 さあ、お嬢様、お手を。…もちろん転ばない為に手を繋ぐのですよ?一介の使用人がおいそれとお嬢様に触れるなど、許せないことかもしれませんが…え?腕を組みたい?そ、それはさすがに周囲の目が許さないでしょう…。私の全てはお嬢様のものです。今このときは、手のひらの温もりだけでそれを感じていただきたいのです。




 √山南(両片想い/甘)
 休憩休憩って…お嬢さま、先程昼食をとられたばかりじゃありませんか。気分転換の方が勉強より長くなってしまっては元も子もないですよ。…なら、お嬢さまが私にお茶を淹れてくださるのなら考えましょう。これもお嬢さまが独り立ちされる際には役立つかもしれませんしね…さあ、種類は揃えておきましたよ。今日は…アールグレイにしますか?それとも…昆布茶にしましょうか?




 √南雲(溺愛/甘)
 稽古が嫌だって…それはお嬢様の責務でしょう。そうですね…何処かに出掛けたいなら、俺が連れて行ってあげるよ…旦那様に内緒でね。全ての稽古で優良をもらえたら、な。当たり前だろ。何もしてないのに褒美をもらおうなんて甘い考えは早く捨てろ。…もしお前が懸命に事を成し遂げたのに周りが評価しなくたって、俺は、俺だけは必ずお前に褒美をやる。お前の努力は俺によって必ず報われる…忘れるなよ。




 √井吹(恋人未満/切)
 お嬢様、夕食の準備が整いましたので、下の階へいらして下さい。…そんなに笑うなよ、俺だって懸命に仕事してるんだからよ。鬼のような先輩達に教わって、給仕はだいたい覚えたんだ。…アンタに給仕してる時だけは、何だか満たされた気分になるんだ。死ぬまで、なんて言わないからさ。ずっと傍に居させてくれよ。




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2013/02/14(Thu) 09:23 

◆舞姫√苦しいよ、愛してよ、 

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  H a p p y
  C h r i s t m a s !
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※微裏注意
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※苦手な方は回避!




 √ 藤 堂 平 助




生まれて初めてキラキラした女の子の好きそうな店で、少し恥ずかしかったけれど彼女に似合いそうなネックレスを選んだ。


今、そのプレゼントは彼女の胸元で揺れている。


「っ、ハ…やぁ…へ、すけ…くん…ッ!」


断片的な嬌声と共にゆらゆらと小さく輝いているのを見れば、彼女は今、俺のものなんだと子供じみた独占欲が満たされるのを感じた。




「ねえ…、このネックレス、部屋が暗くても綺麗に光るんだね…とっても気に入ったよ」


「俺も…お前のプレゼント、一生大切にするよ」


寝台の上で、互いに顔を見合わせて照れながら笑う瞬間に幸せと、不思議な感覚が押し寄せた。


「愛してる、…女々しいかもしんないけどさ…お前と離れたくない」


「ありがとう、私も…ずっと一緒に居たい」


肩を抱き寄せて、彼女の髪に顔をうずめる。彼女と出会って知った、愛することの難しさ。


思えば思うほど苦しくなって、彼女に愛して欲しくて、まるで少女漫画の主人公のようだと何度も嘆息した。


それでもやはり彼女が。


「俺、さ…お前が傍に居てくれたら、きっとずっと笑顔で居られると思うんだ」


「そうだね、平助くんがずっとそばに居てくれるなら…幸せだよ」


彼女の胸元でネックレスが輝くたびに俺の気持ちは少しずつ変化しているように思う。


傍に居ない時だって、彼女が幸せで居られるように。彼女の為ならきっと、願える。


√共依存のふたりのシアワセな時間を求める為に叫ぶ言葉は




...


 水母様よりお借りしました
 └http://nanos.jp/miseryxlady/
 『苦しいよ、愛してよ、
         叫ぶぼくの細胞』


クリスマスシリーズで前回詰め合わせ 00587046.b322@b.merumo.ne.jp の平助くんの続きです.もしかすると初めての平助くんの微裏かと...大人テイストが目標でした.楽しんでいただければ幸いです!


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2012/12/24(Mon) 16:25 

◆舞姫√今夜もまた眠れない 

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  C h r i s t m a s !
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 √ 斎 藤 一


彼女は真っ赤な衣装、俗に言うミニスカートのサンタ服を身にまとって俺の部屋にいた。


「………………」


「あ、はじめ!おかえりー。
今、丁度準備出来たよー」


俺は絶句してしまった。


彼女のことを考え始めると、鼓動が高鳴り、夜も眠れなくなってしまうほどに、彼女とは、長く続いている関係だ。


合い鍵を渡してあるから此処にいることに異論は無い、問題はその衣装だ。


「…その衣装は」


「ミニスカサンタだよ」


辛うじて絞り出した言葉に彼女はけろっと答えた。


それくらい俺にも分かる、そうではなくてだな。


「何故」


「可愛いでしょ?」


なるほど…いや、なるほどではない。


俺も随分彼女に絆されてしまったようだ。


確かに可愛い、かも、しれないが。


「丈が少々…冬の気候にそぐわぬような気がするのだが」


「中にブルマはいてるから大丈夫だよ、…ありがと、はじめ。心配しないで」


頬を少し赤らめた彼女は照れを誤魔化すようにケーキに入刀していく。


どんな格好をしていても彼女は愛らしい。


しかしやはり、スカート丈が短いことが気になってしまう…これはもしや。


「試されているのか…男として…」


「ん?どうしたの?」


「いや、」


考えてみればここ最近、俺自らが積極的に行動することは少なかったと思う。


ほとんど彼女にリードされるような形でしか、その、口付けなどにもなかなか踏み切れなかった。


「はじめと過ごせて、私、すごく幸せだよ」


「お…おれも、」


「あ!オードブル、電子レンジに入れっぱなしなの忘れてた!」


ぱたぱたと慌てる彼女に言葉を遮られ、俺は決心した。




今日こそ、自ら行動する。




彼女に愛されているという自覚はある。


だからこそ、俺もその気持ちに返さなくては。


「ここまで用意してくれて、ありがとう。あとは、俺に任せて、座っていてくれ」


「うん…、わかった!」




√策略家な彼女の罠で今夜もまた眠れない奥手な彼の聖なる試練の一夜




「はじめ…スカート見過ぎ。
なに?そんなに短いスカート気にして…やらしーこと考えてたり?」


「なっ…だっ、断じて違っ…!」


「(…たまには、はじめから仕掛けてくれたっていいよね?)」


「(今日こそは…!)」




...



 反転コンタクト様より
 └http://nanos.jp/contact/
 『今夜もまた眠れないあなた』


クリスマスシリーズで前回詰め合わせ 00587046.b322@b.merumo.ne.jp の斎藤さんの続きです.
奥手といいますか、へたれといいますか...ぐいぐい引っ張ってくれる斎藤さんも好きですが、こういう斎藤さんもたまにはいかがでしょうか!


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2012/12/24(Mon) 16:24 

◆舞姫√優しいクリーム色 

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 √ 沖 田 総 司




「はい、あーん」


「あ…あーん」


ケーキを買って彼の家へ行く途中、この子は見事に足を滑らせ腕を掴んでいた僕を華麗に道連れにした結果、ケーキは少しだけ崩れてしまった。


「おいしい?」


「美味しいです、すごく…総司さんに食べさせてもらったから…」


真っ赤になりながらぽつりとそう言ったこの子がとても愛おしくて。


「…総司さん?
痛ッ、フォークでつつかないで下さい!
あっケーキ刺したまま痛い!痛いです!」


「クリーム、ほっぺについちゃったねえ…」


「どうして私がやらかしちゃった…みたいな顔してるんですか。
ティッシュとってください、今拭き取るので、」


僕の背後の棚にあるティッシュを指差す彼女を押し倒して。


「大丈夫、今僕がキレイにしてあげるからさ。暴れないでよ?」


...


続きは裏の為
平気な方のみ
パス入力の上ブックにて閲覧可




クリスマスシリーズで前回詰め合わせ 00587046.b322@b.merumo.ne.jp の沖田さんの続きです.いちゃいちゃしてます、久々の裏です!

2012/12/24(Mon) 16:22 

◆舞姫√誰そ彼時の儚き戀 

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 √ 土 方 歳 三




指輪の、サイズ.


そう目の前の彼に言われた瞬間、自分の手のひらを、指を見つめてしまった.


そういえば何号だったろうか、きっと土方さんは一般的な女性の標準サイズである九号くらいを買ったのだろう、私の指に入らなかったらどうしよう.


「...んな、泣きそうな顔するんじゃねェよ」


俺が泣かせてるみたいじゃねェか、なんて言いながらクリスマス直前の夕暮れの公園で周りを見やった後、土方さんは少しだけ俯いた.


そんな、だって.


「緩いならまだしも、入らなかったらショックじゃないですか...!」


指輪なんていう未知のものを滅多につけるわけではないからこその不安が渦巻く.


どうしよう、入らなかったら正直とても恥ずかしい.


この必死の訴えを土方さんは理解してくれるだろうか、と目をみれば.


「合わなかったら、合わなかったで交換してもらえばいいだろ」


問答無用.


するりと手を持ち上げられ、指に何かが触れる感触.


「え、あっ、!」


指の第一関節を通過、

微かに第二関節に触れて、

緊張して心拍数が上がる.


指の付け根の少し手前で引っかかったが彼が軽く押すと丁度びったりと、はまった.


「何だ、大丈夫だったな...良かったよ、今日渡せて」


「ひじ、かたさん」


「デザインはシンプルなのにしたんだが...気に入らなかったか?」


「いえ、気に入りました!ただ、あの...」


手を離され、指を目の前でまじまじと見つめる.


銀のごたごたとした装飾の無い、私の好みを知っている彼らしい指輪だ.


「...察しろよ」


夕陽を背にした土方さんに貰った指輪が輝いているのは.


左手の、薬指でした.




√優しい誰そ彼時に貰った彼の真心に含まれていたのは、将来の約束という名の誠.


...


 ( 空 想 )様よりお借りしました
 └http://nanos.jp/miseryxlady/
 『誰そ彼時の儚き戀に
  誠を見せて差し上げませう』


こんばんは.クリスマスシリーズで前回詰め合わせ 00587046.b322@b.merumo.ne.jp の土方さんの続きです.


幾多の紆余曲折や誤解を経たとしても言わなくても分かってくれる、そんな関係を築けたら幸せです.

2012/12/24(Mon) 06:07 

◆no title 

 √ 土 方 歳 三
 実は、だな…その、…まず始めにお前に何か買って贈ってやりたいと思って、色々な店をまわったんだが…これを、お前にやる.別に婚約やら結婚みてェな深い意味はねえよ、店員に乗せらちまって、買った後で気付いたんだよ…指輪、サイズ、合ってるか?


 √ 沖 田 総 司
 ほら、もっとこっち寄ってよ.地面は凍ってるんだから、そんな恐る恐る歩かれちゃ一向に前に進まないじゃない…だからケーキはやっぱり僕が持つよ.ケーキ持ってる反対側の僕の腕、掴んでいいからさ、ね?せっかくのクリスマスなんだから、いつもよりくっ付いたっていいでしょ?


 √ 斎 藤 一
 っ…、いや、その、丈が短すぎるのでは…ないだろうか…ミニスカサンタだから大丈夫?何が大丈夫だ、いくら部屋の中とはいえ寒いだろう!ブルマをはいているから大丈夫…?み、見せるな!何故そんな堂々と…俺に、喜んで欲しかった?…俺はあんたと一緒に居られるだけで…ッ、み、見せなくていい!


 √ 藤 堂 平 助
 わ!これ俺が欲しかったやつじゃん!え、もしかして、結構前に一緒に出掛けたときに見かけたやつ、とか…?覚えててくれたんだな!…すっげー嬉しい…俺、お前のそういうところ、てか、もうお前の全部が…やっぱり、好きだ!俺のプレゼントはちょっと俺の好み混じったかも…お前に似合いそうなネックレス、なんだけど…気に入ってもらえると嬉しい、な.


 √ 原 田 左 之 助
 前、どっかで美味しいって聞いて此処、予約しといたんだが…予想以上だな.お前とこんな風に夜景みて食事、なんて夢の中だけかと思ってた…しかもしっかり着飾ってきて、すごく可愛いしな.普段と雰囲気が違って、最初誰か分からなかったぞ?なんてな…じゃあ、お前と過ごせる今日を祝って…、乾杯.


 √ 風 間 千 景
 さあ、鳥は捕まえたぞ…さばけ.なんだ、“ろーすとちきん”とやらがてれびに映っていたときに物欲しそうな顔をしていただろう.羽をむしるところから始めるのは嫌だ?貴様、怖いという理由で他の者の手に任せるつもりか…生きとし生けるものの生命を喰らうのだ、そのような態度では食物への無礼であろう.俺も手を貸してやる、腹を括れ.


 √ 雪 村 千 鶴
 お待たせ!ごめんね、薫に見つからないように出て来るのが意外に時間がかかって…あなたの彼へのプレゼント選び、だよね.もう候補は決まってる?そうだよね…迷うよね、普段使いそうなものは使う人の好みに合わせたいし…困っちゃったね.とりあえず歩きながら一緒に考えよう?


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 返信1回可
 (24日(月)20時まで受付)

 件名:クリスマス*(+返信する
    相手のキャラクター名)

 本文:返信内容
  (ロル有無問わず/メール風可)
    HN(よみがな)
    呼ばれたい名前
    感想など(任意)
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気が早いかもしれませんが、一足早くクリスマス風にお届けします!SSLでも、ただの現代でもどちらでも構いません.返信していただけると嬉しいです(´`)もろびとこぞりて!鳥をさばけるようになりたいです...

2012/12/15(Sat) 16:23 

◆咳と遊女と沖田の話。 

※死要素有・要注意








僕にも明日は来るんだろうか、と彼は笑いながら言った。簪を揺らした彼女は言葉を詰まらせたのか、返事の代わりに笑い返した。それに満足した彼が彼女の額に小さく口づければ、彼女は頬を染めて。

「沖田様、本日の体調は?」

「いいでしょ、別に」

「吉原から出る事も出来ない遊女に相談事等無いと?」

「違うよ。僕を心配した君が、此処を抜け出して助けに来ないか、心配なんだよ」

「助けに参りたいのは山々ですが、ご安心を。沖田様のお望みにないのであれば参るなんてことは致しませんし、抜け出すなんて無粋な真似も致しません」

言いながら彼女は膳を片付け、徳利のみを手元に残し、彼の猪口に酒を注いだ。

「…しばらく君に会うのは、いや、外を出歩くのは控えようと思う」

「それは…、やはり御療養ですか?」

「うん。咳が出始めたから、近藤さんが心配するんだ」

会えなくなる寂しさを誤魔化すように冗談めかしく彼は笑った。

「では、また良くなりましたら…いらして下さいね」

この時、彼の症状は初期段階で。彼女もすぐ治るだろうと考えながら言葉を返した。




「…、………っ、」

けほ、と灯りの消えた部屋に乾いた咳。押さえた手には生暖かい感覚。それを月明かりのもとで確認した瞬間、死というものを、改めて覚悟した。




彼自身、自分の咳が病のものだと分かってからも剣を振るうことは止めず、所属する新選組の一番隊の長としてつとめ続けてきた。それから彼が再び彼女のもとへ訪れたのは、お世辞にも早いとは言えない年月が経っていた。

「あの子は、前の秋に…」

「え、?」




《この子を向こうの部屋へ早く移して!》《こんなに咳が出るなんて、風邪?それとも労咳?》《何でもいいわ、うつる前に早く!》

吐血した彼女は、奥のさらに奥の部屋へと隔離され、感染を恐れ人の足は遠のき、食事なんてものはまともに与えられず、彼女はあっという間に弱っていった。

「沖田様…」

何度目を覚まそうと、迎え入れるのは死を待つだけの残酷な朝。毎日彼の隣でしていたように、三味線を奏で酒を注ぐ動作を真似てみるが、それすらも日に日に出来なくなっていた。

「もう一度だけ…叶うのならば…」

決して他の客のように乱暴に扱わないでいてくれた優しい彼。無理矢理帯を外すこともせず、彼女は金で買われる“遊女”である以前に“人”であることを証明しようとするように、ただただ彼女を酒の席の話し相手のように接してくれる彼の存在は荒々しい日常の中の救いだった。

「最期に…、…沖田様に、…会いとう御座いました…」

─────どうかお達者で。痩せこけた手に力は入らず、空の徳利が畳の上に転がった。




彼女が結局何の病で亡くなったのかは、分からなかった。今まで亡くなっていった人々と同じように、死の原因など気にも留められないまま葬られた。

果たして彼女の病が彼にうつったのか、彼の病が彼女にうつったのか、全く関係性が無いものなのかどうかすらも分からないまま。

彼は考えるのを止めて、ただ、彼女を想って悲しんだ。




それが愛だったのかも分からぬ内に




・-・*・--・*・-・




 破片 様より
http://nanos.jp/fragment10/
▼「沖田総司」
『 僕にも明日は来るんだろうか
  └目を覚ましたのは残酷な朝 』


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2012/07/14(Sat) 16:00 

◆▼[新選組副長に熊と戦わされる話。] 

「ひじかたさん、ひじかたさん」

「なんだ」

愛らしい小さな唇から自分の名前が紡がれるのは、嬉しくもあり愛しくもあり、同時にこそばゆくも感じてしまう。だから今でもたまに照れを誤魔化す為にぶっきらぼうになってしまうことがあるが、そういった俺の質を分かっているのか彼女は全く気にしない。

「土方って『ひじかた』とも読みますが、『どがた』とも読めますね」

「読みたいのか?!」

ちなみによく突拍子のないことを口走るが、決して相手を気遣っている訳ではなく、これが普段の言動だ。

「ちなみに『どがた』とは、土木工事の仕事で働く労働者のことらしいです。土方さんにはあまり向いてなさそうですね、薬売りでしたものね」

「お前、石田散薬をまだ馬鹿にしてんのか?飲めよ!飲めば分かるからな」

「なら、次体調を崩したら飲みます」

「体調管理はしっかりしろよ」

「飲ませたいんじゃないんですか?」

ぽんぽんとこんな調子で言葉が返ってくるものだから、鬱陶しく思う時もある。けれど何故か彼女のことが気掛かりで心配になるので、蝦夷まで連れてきてしまった。

「…もう少しでこの書類を片付けちまうから、」

「休憩しますか?」

「お前を山に捨てに行く」

「熊と素手で戦える自信はないので刀を貸して下さい」

今夜は熊鍋ですよ、と彼女が笑顔を浮かべて俺を見れば、つられて此方も笑顔になる。辛い戦いの最中のはずなのに、不思議と焦燥感は無い。


そういえば、壬生狼と呼ばれていた頃から彼女はずっと俺を支えてくれていたんだ、と改めて思えば頬が緩んだ。




 (この地で戦う理由のひとつは)
 (彼女と、共に生きていくため)


・-・*・--・*・-・


 破片 様より
http://nanos.jp/fragment10/
▼「土方歳三」
『生きていこうと思う理由』


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2012/06/20(Wed) 23:25 

◆もし。 

南雲 薫
[死ネタ/ほんの少しだけ歪んだ愛情]




+・+・+




もし戦場で、知り合いと、友人と、はたまた家族と出会ってしまったなら私は一体どうすれば良いのだろうか。


「薫…」


「一緒に行こう?」


手を差し出すのは、幼い頃以来会っていなかった兄。しかし、ここは戦場で、今も仲間達は必死の思いで刀を振るっている。


「私は、行けない」


「どうして?別にこの戦から逃げろなんて言っていない。お前が戦いたいなら戦えば良い。お前が仲間だという、あの人間の集団に加担すればいい」


言いながら薫は、私の小太刀と対になる刀に手をかける。


「でも、考えてみなよ。力も無いお前が残った所で戦局は変わらない。むしろ敵陣をうろうろされれば目障りだ。ならいっそ、早々に戦線離脱した方が身のためだろう?」


「…それでも、私は」


薫の言うことは理解出来る。まともな成人男性ひとりを相手に戦うのだってやっとなのに、大量の羅刹なんて返り討ちに会うことだろう。


「彼らと共に、」


「此処で死にたいの?」


理解出来ないというように私をみる薫の表情は哀しみに満ちていた。この離れ離れになっていた間に、私達は変わってしまった。今まで見てきたものも、感じてきたことも違う。だからこそ互いの考えも信念もずれて噛み合わない。


「ごめんなさい」


「こんな所でお前の命が果てるくらいなら、俺が、」


私も小太刀を握り締め、薫に面と向かう。


「なあ、千鶴…どうしても、一緒には行けないのか?」


「私には、大切なものを守らなければいけないから」


「そう…」


もし戦場で、知り合いと、友人と、はたまた家族と出会ってしまったなら私は───────。


地面に紅が広がる。


「千鶴…ち、づる…」


薫が涙を浮かべて私の顔を覗き込み、私の名を大事そうに呼ぶ。


「…る…」


でも、それもだんだんと霞んでいってしまって、薫の声も遠くなる。


『かおる、ありがとう、わたしを、みつけてくれて』


うまく薫に伝わったか、分からないけれど懸命に口を動かした。傷口の熱も感じなくなって、指先の感覚ももう無い。


もし戦場で、大切なものと斬り合わなければなら私は、喜んでこの身を差し出そう。


それは弱虫な私の逃げ道。相手に恨まれるくらいなら、私が倒れれば、私が死を受け入れ、恨むことを止めればそこで弔い合戦は終わる。


一方で、それは私の臆病な弱さ。相手の死をみるくらいなら、私が死ぬ方がずっとずっと楽だから。


最後に、それは私の唯一の復讐。相手の切っ先に、私の血肉の感触を残して、相手の心の奥底に潜むのだ。



((さようなら、私の大切なモノ達))


___

2012/05/05(Sat) 18:42 

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