FAIRYTAIL longstory

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グレイ達が眠っている間、ラナル達はマスターと喋っていた。
否、喋っていたのではなく、怒られていた。

「何故だ!お前達まで私を裏切る気か!?」

「そ、そういう訳では」

「ならば何故私の指示に従わない!?」

「それは・・・・」

ラナルは俯いて、その続きの言葉を言わなかった。

「忘れたのか!お前達は私に助けられたんだ!」

「・・・・」

「恩を仇で返すつもりか!?」

「兄さんはそんな事しない」

今まで黙っていたシャナルが言った

「僕達もだよ。あの時マスターに助けてもらわなかったら僕達は死んでたんだ。」

「マスター。」

俯いていたラナルが顔を上げて言った

「僕は…僕達はそんな事しようとは思っていません。この命を捧げているのです。次からは、失態はしません。マスターのどんな命令にも従います」

「そうか。ならば次は無いと思え」

「はい」

それだけ言うとマスターは姿を消した。

「・・・・グレイは良いよね。デリオラに故郷を滅ぼされても、あんな良い人にひろってもらってさ。僕達は、あのマスターだもん。感謝はしてるよ。でも、ずるいよ。マスターも最初は優しかったんだ。本当のお父さんみたいだったんだ。それなのに…グレイの存在に気付いたらグレイ、グレイって。僕達は道具なんかじゃない!感情だってあるんだ…。マスターの役にたちたいよ。昔から思ってた。でも道具みたいに使われるのは我慢ならない!!」

「シャルダ…。」

「ロイ達だって一緒なのに!なんで扱いが違うんだよ!」

「それは・・・・」

「シャオロンはラナルにぃとシャナルにぃの幼馴染みじゃん。なんで違うの?」

「わかりません」

「兄さんがわからないんだ。俺がわかるわけないだろ。」

「クソッ!クソッ!これもグレイのせいだ!!殺してやる…殺してやる。」

シャルダは泣きながら…悔しそうに唇を噛み締めて言った

「シャルダ…。仕方無いですよ。過去にあんな事があったんですから。なかったら・・・・もっとマシな人生を生きれたでしょうけどね。」

あんな事。ラナル達の過去に何があったのか。ラナル達は…過去を思い出していた。

〜過去〜

「兄さん!見て!」

「うわ…。凄いよ、シャナル!」

家にいたラナルにシャナルは手に持っていた物を見せた

「これ・・・あげたらシャオロン喜ぶかな?」

「きっと喜ぶよ。」

「ほんとう!?ならあげてくる!!」

と言ってシャナルは家から出て行った。暫くして帰ってきたシャナルは凄く嬉しそうな顔をしていた。シャオロンが喜んでくれたってシャナルはラナルに言った。

そして…悲劇は次の日におこった。

『シャナル!ラナルは!?』

「兄さん?兄さんは外にいるよ?」

『なら、ラナルは後で良いわ。シャナルだけでも逃げて!デリオラがここにきたの!』

「デリオラ?・・・・っ!?兄さん!」

『駄目!』

シャナルはラナルを助けに行こうとしたが、母親に後ろから引っ張られバランスを崩した。母親はラナルを自分の下にし、庇うように抱き締めた。

『大丈夫。シャナルは私が守る。ラナルにはお父さんがいるわ』

「お母さん…」

そして…デリオラの声が聞こえ、街に響いた。その瞬間燃え上がる街。それを見ていたのは…シャオロンだった。シャオロンは母親に頼まれ、お使いに行くため家を出ていた。今、立っている場所からは家がだいぶ遠い。今から家に帰るのは無理だと思ったシャオロンはその場に立ち尽くすしかなかった。後ろの家が燃え、目の前にはデリオラ。シャオロンは恐怖を通り越していた。だから何も思わず立っていられた。シャオロンにはひとつ心配事があった。幼馴染みのラナルとシャナルが無事なのか、それが心配だった。

「ラナル・・・・シャナル。無事だよね?」

その問いに返事をするようにデリオラの声が響いた。そして、燃えたのはラナルとシャナルがいる家付近。シャオロンの家はラナル達の家の隣だ。だから、シャオロンの家は燃えた。直にラナル達の家も燃えた。

それから…一時間程の地獄映像のような物はデリオラがいなくなった為終わった。火は消えていなく、燃え続けていた。シャオロンは奇跡的に無事だった。デリオラがいなくなった後急いで家に戻った。シャオロンの家の火は消えていた。だが、家の原型もなく、灰となっていた。母親、父親も見付からなかった。隅々までさがしたが何も無かった。遺体も何も。シャオロンはラナル達の事が気になってラナル達の家に行った。ラナル達の家も火は消えていた。だが全てが灰になっていた訳ではなかった。シャオロンがラナル達を捜そうと家に一歩入った時、奥の方で声が聞こえた。

「ぅ…。」

その声がした場所に向かうと、涙を流しているシャナルがいた

「シャナル」

「シャオロン!?」

シャオロンの声に反応したシャナルがシャオロンの方を向いた

「シャオロン!シャオロン無事だったんだ!」

と泣きながら笑ってシャナルは言った

「あぁ。母さん達は…死んだと思う。ラナルは?」

「兄さんは外だよ」

と言いながらシャナルは窓の外を指さした。そこには人形の黒い塊があった。

「ラ、ナル?」

とその黒い塊に呼び掛けた。すると黒い塊が動いた

「うわぁ!?動いた!?兄さん?生きてるの!?」

そうシャナルが黒い塊に言うとその下からラナルが出てきた

「これは…父さんだ」

「!?父さん…」

「この家もだいぶ焼けてる。崩れたら大変な事になる。外に出よう。ラナルもそこは危険だ」

とシャオロンが言った。シャオロンの言う通りにして、皆は家から出た。出た瞬間、家は崩れた。シャナルはそれを見て泣いた。

「家、がぁ…」

「崩れたのか?」

と泣いているシャナルに話しかけてきたのは見知らぬ男の人

「う、ん」

「私の所にくるかい?」

「え?」

「この街で生きていたのは君たちだけだよ。ここにいても死ぬだけだ。私ときたらいい」

ラナル達は顔を見合せて、同時に言った。お願いします…と




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(これがマスターとの出会いだった。)
(ラナルにぃ達はそんな出会いかたをしたんだね。僕は違うよ)
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