gift
□後悔
1ページ/2ページ
どうして…こんな事になったんだろう。ナツ…。なんで…お前は今、俺の隣にいないんだ。鬱陶しいくらい・・・・いつも俺にくっついて離れなかったくせに。なんで、いないんだよ。なぁ…ナツ。
〜昨日〜
「なぁ、グレイ!」
「なんだよ。」
「次の依頼、どれにする?」
いつもは聞かねぇくせに。なんで今回は聞くんだよ。気持ち悪ぃな。
と、思っていたグレイ。ナツはいつも誰にも聞かずに勝手に決めていた。討伐系が殆どだったからルーシィが家賃に困ることもなかった。だから、ルーシィはナツに任せっきりだし、エルザは基本なんでも良い、グレイもなんでも良かった。ナツが勝手に選んでくる依頼しか行ったことがない。でも、今回はナツが珍しくグレイに聞いていた
「いつもみてぇに勝手に決めろよ」
「・・・・・・・・わーったよ」
と言ってリクエストボードに向かうナツ。グレイはナツのさっきの無言がなにか気になっていた。
暫くして、ナツが依頼書を持ってマカロフの所に行って、許可をもらった後、ルーシィ、エルザ、グレイを集めてギルドから出た。列車に乗って、依頼書に書いてある目的地についた。依頼はいつも通りの討伐系
「ここらへんだと思うんだけど…」
「道に迷ったりしてねぇだろうな?」
「私についてきているんだから迷うわけない!」
妙に自信たっぷりのルーシィ。森に住み着いた奴をどうにかしてほしいっていう依頼だ。森の中だから迷う可能性はかなりある。ルーシィが先に進んでいって、後から三人と一匹がついていった。歩いて30分
「ま、迷ったかもしれない…」
「はぁ…。やっぱりな。どうする?」
「そうだな。夜になっているし…暗いから動くのも危険だな。ここで野宿か?」
「えー!?私は嫌だよ!」
「誰のせいでこんな事になったんだ?」
「・・・・」
「?」
「ナツ、どうした?」
「何か…いる」
ナツはまわりを見渡しながら言った。暗すぎて、グレイ達はわからなかった。微かに気配はしていたが、ここは森だ。普通に平和に暮らしている動物だと思っていた。
「動物とかじゃねぇのかよ?」
「違う。人間のにおいだ。」
「気を付けろ。いつ襲ってくるかわからないぞ。」
「うん」
皆、戦闘準備をした。そして、出来た時に襲ってきた。
「開け、処女宮の扉。バルゴ!」
「おしおきですか?」
「違う!コイツらやっつけて。」
「換装、黒羽の鎧!」
「火竜の鉄拳!」
「アイスメイク、ランス!」
皆が魔法をいっせいに使った。だが、まだ暗闇になれていなかったせいか、不利な戦いになった。戦いに夢中になっていて、皆バラバラになってしまった。ルーシィは近くにエルザがいて、二人で戦って、ナツはグレイと。
「クソッ。何人いるんだ!」
「においからして、だいぶ多い。」
「アイスメイク、フロア!」
「!?グレイ後ろ!」
ナツに言われて、後ろを向くと、敵が剣を振り上げていた。そして下げた。
「っ!?」
咄嗟に目を瞑って、腕でからだをガードした。でも、痛みはこない。恐る恐る目をあけると、ナツが剣に刺さっていて、敵は吹っ飛ばされたのかいなかった。
「グ、レイ。大丈夫、か?」
「人の心配する前に自分の心配しろ!」
剣は…ナツの心臓近くを貫いていた。グレイの魔法で、固めても、外に血が流れないだけで、中には流れていた。
敵は、ナツを刺したからか、大声でやったぞ!とか言いながらどこかへ行った。
「ナツ、ナツ。死ぬな、ナツ…」
「グ・・・イ。」
ナツは手を伸ばして、グレイの頬にあてた。
「ナ、ツ?」
「も、う…言えそうに・・・・ねぇ、から。今、言う。好、きだ。愛し…ゴホッ」
ナツが血を出した。
「て、る。グレイ…」
ナツがグレイの頬にあてていた手が落ちた。否、グレイが落ちる寸前で受け止めていた。
「ナツ?ナツ!ナツ!」
「・・・・・・・・」
「俺…何にも、伝えてねぇ…のに。死ぬなよ・・・」
「・・・・・・・・」
「ナ、ツ・・・・。」
グレイは何度も何度もナツの名を呼んだ。でも、返事はかえってこなかった。グレイはナツが死んだことを理解してしまったとともに…泣き崩れた。
「グレイ?」
エルザが暗闇の中から現れた。
「どうしたのだ?グレ・・・・ナツ?」
グレイの名前を言おうとした時に、倒れているナツを見付けた。
「グレイ…。何があった?」
「エルザ。無理よ。グレイが落ち着いてからきいたほうがいい」
と、エルザの後にいたルーシィが言った。
「そうだな…。グレイ、立てるか?」
グレイは無言で頷いて、立った。
「ここにいるのは危険だ。近くに家があった。誰も住んでいない。」
「そこに隠れましょ。」
「ハッピー。ナツを…連れてこれるか?」
「・・・・ぁぃ。」
暫く歩いて家が見つかった。その家に皆入った
「・・・・・・・・」
「ハッピー。見ていたのか?」
「ぁぃ」
「教えて?何があったの?」
「グレイを…庇ってナツが刺されたんだ。」
「・・・・」
「暗かったから・・・見えなくて、グレイは気付かなかったんだと思う」
「そうか…。ナツが…死んだから依頼はキャンセルだ。グレイも戦える状態ではない。ギルドに…戻るぞ。」
「だね…。ちゃんと、お墓もつくって…あげない、と。」
と言いながらルーシィは泣いた。
「私、ナツは…死なないって!絶対に死なないって…思って、た。馬鹿だよね…私。」
「ルーシィ…。そうだな。私も…思っていた。人間だからいつか死ぬ。それはわかっている。でも、こんなに早いなんて思っていなかった」
「ナツぅ!戻ってきてよぅ…」
「ハッピー。もう…無理だ。」
「エ、ルザ・・・・。」
「ギルドに戻ろう。マスターに報告しないと…」
「ぁぃ…」
これが昨日おこった事。今日はナツの葬式だ。グレイは行かなかった。否、行けなかった。足が動かなかった。自分の部屋にずっといた。でも、ナツとの思い出がありすぎて…涙が溢れた。
『グレイ。一緒に寝ようぜ!』
あの時は断ったけど、今なら…こんな事になるなら、一緒に寝てたら良かった。俺は、ナツに何にもしてやれなかった。ナツは俺に言葉でも行動でも、物でも・・・・なんでも俺にくれた。俺のほしい言葉をくれた。辛いときは黙って俺のそばにいてくれた。なのに…俺は…『好き』の言葉もナツに言えなかった。なにも…ナツに…
「ナツ…。ごめ、んな…。お、れ…。」
なんで…こんな事になったんだろう。なんで俺は…ナツに何にも言えなかった?ナツに何にも伝えてないのに。なんでナツ、お前は俺の前からいなくなった?戻ってきてくれよ。お前が俺の所に戻ってきてくれたら…お前の望む言葉、物、なんでもやるから。頼むから…俺を一人にしないでくれ…。
外が夜になってからグレイは外に出た。暫く歩いてナツの墓についた
「ナツ…。俺さ…お前に伝えなきゃいけない言葉とか色々あったんだ。でも・・・・お前が目の前にいたら言えなかったんだ。ごめん。今、伝えても…お前に届くかはわからねぇけど…いや届くよな。ナツ、よく聞いとけよ。俺は…ナツが好きだ。これからもずっと。ナツだけを愛すよ。」
その時、ナツの声がきこえた気がした
『ありがとな、グレイ。俺もだ』
って。届いたのかな。ナツ、ありがとう。
お前のいない世界で生きていくのは辛い。ナツが生きている時に伝えられたら良かったのにな。ごめん、ナツ。
後悔
(あ、グレイ!これ、持ってあげていて)
(ナツのマフラー?)