gift

□風邪
1ページ/3ページ



いつも通りの朝。・・・・のはずだった。いつも通りなら、起きたらギルドに行く準備をしているはず。なのに今、俺はベットの上から動けずにいる

「ゴホッ…」

氷の魔導士の俺が…風邪を引いた。久し振りだからか、けっこうしんどい。魔導士になってから一回も風邪引いたこと無かったのに…。つーか、氷の魔導士は風邪引かねぇだろ!?なんで引いてんだよ…。

その頃、ギルドでは

「おせぇ。」

ナツが独り言を言った

「どうしたのよ?」

その独り言をたまたま近くにいたルーシィがきいて、気になってナツに聞いた

「グレイがこねぇ」

「そういえば…来てないわね。」

ルーシィはまわりを見ながら言った

「今日は二人で依頼行くって約束してたのに!」

「グレイは約束ほったらかすような事しないでしょ。何かあったのかも…」

「!?」

ナツはルーシィの一言に反応して、急いでギルドから出ていった

「グレイっ…」

ナツは全速力でグレイの家まで行った。家に着くと前に貰っていた合鍵で鍵を開けて入った。入って一番最初に入ったのはグレイの部屋だ

「グレイっ!」

「ケホッ…。」

「ぐ、グレイ?」

グレイはベットの上で寝ていた。

「顔、赤いな…。風邪、か?」

その時、グレイが目を覚ました

「ナ、っっっ!?」

グレイはナツがいるのに気付いて名前を呼ぼうとしたが、喉が痛くて呼べなかった。グレイは喉に手をあてた

「グレイ、喉痛ぇのか?」

グレイは頷いた

「空気、乾燥してんのか?なんか、飲み物持ってくるな!」

そう言ってナツはグレイの部屋から出ていった

「ゴホッ、ケホ・・・。」

咳をするだけでも…喉が痛ぇ。とグレイは心の中で思っていた

「グレイ!水持ってきた。後で別の持ってくるから今は水飲んどけ」

と言ってグレイに水の入っているコップを渡そうとするが、グレイは横になっている。飲めない。

「・・・・座れるか?」

グレイは頷いて、上半身を起こした

「ほら。」

と言って、ナツはグレイにコップを渡した。グレイは受け取って飲んだ。
乾燥していた喉が水を飲んだ事で、少しはマシになった。

「ナツ…な、でいるん、だ?」

まだ喉は痛いから少し途切れ途切れで喋るグレイ

「今日一緒に依頼行くって約束してただろ?こねぇから、心配になってきたんだよ」

「そ、か…。ごめん、依頼・・・・一緒に行けなく…ごほっ…けほ…」

「グレイ!」

「けほっ…こほ、ごほっ!」

一度でた咳はなかなか止まらなかった

「グレイっ…。えっと・・・・咳止め買ってくる!」

そう言ってナツはまたグレイの部屋から出ていこうとしたが、グレイがナツのマフラーを握っていたから出れなかった

「グレイ?」

「い、い…から・・・・。そばに…」

すごく小さな声でグレイは言った。
ナツは黙ってグレイのそばに行き、手を握った

「しゃーねぇな。いてやるよ。」

その言葉をきいたグレイは安心したような表情で眠った

「あちぃな…グレイの手。よっし、寝たし…薬と…飯と…飲み物か。飯ってお粥とかで良いのか?」

と独り言を言いながらグレイの部屋から出ていった



暫くして・・・グレイが目を覚ました

「はぁ…はぁ…。」

熱が少し上がっているのか息が荒い。

「な・・・・つ?」

「ん?グレイ、起きたのか。お粥つくったけど食えるか?」

ちょうどお粥が完成してグレイの部屋に運んできたナツが言った

「・・・ぅん」

「食わねぇと薬、のめねぇしな。ほら、口あけろ」

お粥を掬ったスプーンをグレイの口に近づけながら言うナツ。スプーンに掬ってあるお粥はちょうどいい量だった。グレイが口をあけたのをナツはスプーンをグレイの口の中にいれた

「・・・・ぅまい…」

と一言、グレイは言った。ナツは喜んでグレイの口にお粥をはこんだ

「おっ…全部食ったな。薬と水はここに置いとくからのんどけよ」

と言ってナツはグレイの部屋から出てキッチンに向かった

「・・・・」

グレイは薬と水を呑んでベットに横になった

少ししてから、ナツが戻ってきた

「ナツ…」

「ん?横で寝てほしいのか?」

「ち、ちがっ」

「なんだ、違うのか…」

ナツは残念そうに肩をおとした。

「ぁ、ナ、ツ・・・・」

「なんだよ…」

少し落ち込みながら返事をしたナツ

「横で…寝ても、いいから…そばに、いて…。」

「!」

「こほ…。けほっごほっ!」

「グレイっ」

「ごほっごほっ」

「そばにいてやるから、早く寝ろ」

「こほっ…。」

咳をしながらグレイは頷いた
ナツはグレイの横に寝転んでグレイを抱き締めた

「ナ、ツ?」

「早く元気になれよ?二人で依頼行けねぇだろ」

「・・・・うん」

グレイは返事をすると眠ってしまった

「・・・・グレイ。」

まだ息遣いの荒いグレイに触れるだけのキスをしてからナツも寝た
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ