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□熱に浮かされ
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夜 グランセル城

健全な子供は既にベッドに入っている時間クローゼは相棒で友達のジークと談笑(?)していた。



「あ!」

(いけない、そういえば本を書庫に忘れてきちゃった)


「ピューイ?」


「ジーク、ちょっと出掛けるから待っててね」


「ピューイ!」


「なるべく早く戻るからね、」


「ピュイ!」













書庫


(灯りが点いてる?誰かいるのかしら?)


ガチャ


「どうしました?、本日はもう閉館ですよ?」


「ご、ごめんなさい、忘れ物を……、って、ユリアさん?」

書庫の中には王室親衛隊大隊長ユリア・シュバルツ大尉が書類とにらめっこをしていた。


「クローゼ?どうしました?こんな時間に?」


「いえ、忘れ物をしてしまいまして」


「?、ああ、これですか?〈闇医者グレン〉の4巻、栞が挟んでありました」


「良かった!、ありましたか、ありがとうございますユリアさん、助かりました」

「いえ、お気になさらず」


「ところでユリアさんはここで何を?」

「私は書類の整理を、何かの手違いで行政部宛の書類が親衛隊宛の書類に紛れ込んでいまして、それを分けています」


「それは…お疲れ様です、それよりもまだかなりの量がありように見えますけども?」


机の上には束になった書類が壁を作っている。確かに簡単に終わる量ではない。

「中々量が多くてですね、まだまだ時間がかかりそうです。」


「大変ですね……、もしよければお手伝いをさせて下さい」


「いえ、お気になさらず、単純な作業ですから、私1人で十分です。クローゼは早くお休みになって下さい」


「そんな事言わずに、2人でやれば早く終わりますから、そうしたらユリアさんも早く休めますし、」


「しかし…」


「ユリアさんが何と言おうと私は引きませんよ?なら認めて早く終わらすのが最善だと思いませんか?」


ユリアはこういう時のクローゼが非常に頑固なのを知っていた。このまま言い合いをしていても時間の無駄になることもわかっていた。


「……わかりました、では半分、お願いします」


「了解です。行政と親衛隊に分ければいいんですね?」


「はい、お願いします」







〜30分後


「ふう、そろそろ半分ですね」


「ええ、予定より大分早く終わりそうです」


「やはり2人だと早いですね」


「ええ、おかげで助かりました……痛ッ!?」


「!、どうしました!?」


「い、いえ、少し指を切っただけです、申し訳ありません、大丈夫です」


「結構血がでてるじゃないですか!見せて下さい!」


パクッ チュッ

クローゼは反射的にユリアの指の傷口に口をつけていた。

「なっ!」


「…あっ!す、す、すいません!、あ、あ、あ、えと、その!」

「い、いえ、まずは落ち着いて下さい!」


「………ごめんなさい」


「いえ、大丈夫ですよ、寧ろ早く治りそうな気がします」


「///、っもう、只でさえ恥ずかしいんだから、からかわないで下さい!」
「ふふっ、あと半分ですから、早く終わらせてしまいましょう」


「はい……」













「やっと終わりましたか…… 」


「クローゼ、おかげで助かりました、」

「いえ、こちらこそお役に立てて嬉しいです、では、もう戻りますね」


「ああ、クローゼ」

「はい?」


「先ほどはありがとうございました」


「///、っ消毒して、絆創膏でもはって下さい!お休みなさい!」


バタン!


「ふぅ、全く、可愛らしいお人だ……む、これは…」

〈闇医者グレン 第4巻〉










(うぅ〜、恥ずかしい、何であんな事を……)


「……あ」


(本来の目的を忘れてました……)










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