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□幸せな時間
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王都グランセル

私は王太女として、あなたは親衛隊大隊長としてお互いに忙しく顔を合わさない日が続いていた。


忙しいから仕方がないと割り切れるのは最初の一週間位で、流石に三週間も顔を合わさないと会いたい衝動が抑えられない。


そう思った矢先に


「お休み……ですか?」


「ええ、本日限りの休暇です」


「で、でも、何故いきなり?もしかして私何か問題でも…」

「いいえ、寧ろ逆ですよ、私はクローディアに公務を手伝って貰ってとても助かっていますよ」


「それでは何故いきなり休暇など?…、私はまだ休暇を貰えるような立場ではありませんし、まだ学ぶべき事が多々ありますので休んでいる暇など……」


「……それです、クローディア」


「え…、ど、どのような事でしょうか?」


「確かに、あなたは真面目で努力家です。でも、あなたはまだ若い、王となる努力に、まだ若い孫娘を縛り付けるのは余りに酷だと考えました」


「お祖母様……」


「ごめんなさいね、余計なお節介を焼いてしまいました」


「いえ…、ありがとうございます…、そこまで私の事を考えて頂いて…」
「そうそう、本日はユリア大尉にも休暇をとらせました」


「え!?、ほ、本当ですか!?……ぁ」


「ふふ、大尉もあなたと会えるのをとても楽しみにしていましたよ」


「あ…」



「では、クローディア、よい一日を」












同日 昼


「お久しぶりです、ユリアさん」


「はい…、ご無沙汰しております」


「お元気そうで…、本当に良かったです」


「殿下こそ、お元気そうで何よりです」

「……?」


「む、如何致しました?」


「いえ、今日は嫌に他人行儀だなと思いまして」


「…私は、もはや殿下と親しくさせてもらう事が出来ません」


「……何故ですか?」


「……私は、殿下の護衛と役を、陛下から請け負っています……それが、この有り様です、護衛どころか、顔を見る事も出来ずに任務をこなすだけ…、私のような人間にはもう「ユリアさん…」


ギュッ


「なっ…!」


「お祖母様から聞きました、ユリアさんが私と会うのを楽しみにしてくれていると…、それは本当ですか?」


「…はい」


「なら、私は何も気にしませんよ、あなたが私を必要としてくれるなら、…だからそんな事言わないで」


「……」


「それに私も同罪ですよ。…公務に忙しくあなたに会いに行けなかったから、だからそんなに自分を責めないで下さい」

「ありがとうございます、クローゼ…、それで、あの、そろそろ…離れて頂けると…」


「ふふっ、駄目ですよ、いじけたユリアさんへのお仕置きです」


「…ははっ、手厳しい…」


「反省しましたか?」


「嫌というほど」


「なら許してあげます」


パッ


「まだ時間はありますけど、何をしましょう?」


「そうですね、先程のお礼にどこかの店で昼食でもご馳走しましょう」


「なら、予定はそこで決めましょうか」

「ええ…、クローゼ、」


「どうかしましたか?」


「先程はありがとうございました、…おかげで目が覚めました」


「…いえ、こちらこそ急に抱きついてしまって…済みませんでした…今更恥ずかしさが…」


「ふふっ、それでは行きましょうか」


「…はい、どこに行くかはユリアさんにお任せしますね」


「了解しました、では、行きましょうか」


「はい!」


















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