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□仲良し?
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グランセル


王都には王室御用達と銘打った有名なアイスクリームの出店がある。新メニューの開発として本当の王室御用達のアイスクリームを作るという試みを店主はリベール王太女に持ち掛けたのだった







「…成る程…判りました」


「では、引き受けて下さいますか?クローディア殿下?」


「……ええ、お力になれるかは判りませんが、新メニューの共同開発、手伝わせて頂きます」


「おお、ありがとうございます!」


「いえ、それで具体的に私は何をすればいいのでしょう?」

「そうですね…、材料、トッピング、デザインを殿下に決めて頂き、それを元にして私達が試作、それを試食して貰い改善する…の繰り返しが大まかな流れです」


「成る程、責任重大ですね…」


「ええ、ですが殿下の好みで決めて貰って結構です、こちらはそれを売りにするつもりですから」


「判りました、決めた物は何時までにそちらに渡せば?」


「そうですね…、一週間後にお願いします」


「判りました、それでは、来週、宜しくお願いします」











東通り


(…ほぼ全てを私が決めた物ですか、半端な物には出来ないかな)


(…あ、マーケットで材料を見ておこうっと)



ウィーン


(果物…、いやミルク系も…、)


「あら?お姫様じゃない?」


「…!」


スミレ色の髪に白のドレス服、全てを見透かしたような底が見えない雰囲気を感じさせる少女


「レン、ちゃん…」

〈身喰らう蛇〉執行者《殲滅天使》レン

「あら、そんなに警戒しなくても大丈夫よ、何もしないわ」

「…どうしてここに?」


「追いかけっこの途中よ、食べ物を買いに来たの」

「それより何か面白そうな事で悩んでるわね、お姫様?」


「…鋭いですね」


「ふふ、良かったら教えてくれない?」












「成る程、面白そうね」


「そう?」


「ええ、そして決めたわ、レンが手伝ってあげる」


「?」


「ありがたいけど、大丈夫ですよ」


「なに言ってるの?レンがやりたいだけよ?こんな面白そうな事放っとくワケ無いじゃない」


「え、いや」


「取りあえずアイスクリームっぽい材料を適当に買って考えるわよ、」


「………」
(……まあ、いいかな)


「…なにしてるの?お姫様?」


「大丈夫よ、買ったらお城に行きましょうか」









女王宮 クローゼの部屋


「取りあえずお姫様の好みに合わせて作らないとね、何系のアイスクリームが好きなの?」


「果物系が私は好きですね、ベースは牛乳にしようかと思ってるんですが?」


「いいと思うけどありきたりね、新メニュー何だから斬新さが欲しいところね」

「でも果物はいい線いってるから、後はベースをどうやって果物にあわせるかよ」


「成る程、それにしてもレンちゃんは何でも出来るんですね、ちょっと羨ましいです」


「誉めても何も出ないわよ、それよりどうするかは決まったの?」


「あ、はい、取りあえずいくつか自分で作ってみて納得の出来たやつを持って行こうかと思います」

「ふーん、ならレンもやろうっと」


「あら、手伝ってくれるんですか?」


「勘違いしないでよ、面白そうだからやってみるだけ、つまらなかったら直ぐやめるわ」


「ふふ、じゃあお願いしますね」


「まあ、指示には従ってあげる、レンは何をすればいいの?」


「じゃあレンちゃんは果物を切って下さい、私はベースを作りますから、大丈夫ですか?」


「心配無用よ、お姫様こそ沢山作るんだからね、焦がさないようにしなさいよ」











トン トン トン

クツ クツ クツ


「そういえば」


「どうしました?」

「あの大尉さんと白いお友達はいないの?」


「ユリアさんとジークなら軍の演習に参加してますよ」


「そう…」


トン トン トン

クツ クツ クツ


「ねえ」


「はい?」


「好きな人はいないの?」


カシャーン


「あ!、とと!」


「あら?、あらあら〜?、動揺しちゃったの?」


「い、いえ、意表を突かれただけです」

「怪しい〜、ねえねえ、レンに教えてよ」


「違います!、あの人はそんなのじゃ、な……い」


「……」ニヤニヤ


「も、もうこっちは出来ましたよ!」


「うふふ、こっちも出来たわよ」ニヤニヤ


「…お願いですから、もう止めて下さい…」


「はいはい、判ったから早く冷やしてきなさい」


「…うー……」
「…2時間もあれば固まると思いますよ」


「そう、出来上がりに興味が沸いたからまだ居させてもらうわ」


「良いですよ、どうぞ寛いで下さい」


「ええ、そうさせて貰うわ」


「「………」」


「…さっきの話」


「え?」


「あの大尉さんでしょ?」


「な、な、何で!?私がユ、ユリアさんを!」


「ふふ、お見通しよ、でもどちらかといえば……憧れの方の色が強いのかしらねぇ?」


「よ、余計なお世話です!」


「ふーん…、ま、恋愛の定義は人それぞれだからね」


「………」
「………」


「………ふぁーぁ…」


「…眠たかったら布団お貸ししますよ?」


「……結構、よ、眠くないから」


「瞼が半分閉じてる顔で言われても説得力無いですよ」


「むぅ……」


「ギルドに通報する様な真似はしませんから、どうぞ休んで下さい」


「…ベッド貸してもらうわ」


「どうぞご自由に」











「…すーすー」


(寝てる時は普通の可愛い女の子ですね)


「…くー…」


(…次はエステルさん達と来れる様になれば良いんですけれどね…)


「…ふ、ぅ〜!…」


(…私も眠くなってきちゃったな…、少し、休もうかな)


「くー、くー」


「………お隣失礼します」


「…んぅ………お姫様も…寝る、の?…」


「あら、起こしてしまいましたか?」


「ええ…、それより、入るなら入って…寒いわ…」


「では、お邪魔しますね」


「…ちょっと狭いわね」


「1人用ですから、もっとこっちに来たらどうですか?」


「そうね……んしょ…」


「これで広くなりましたね」


「…あ…そういえばそろそろじゃないの?」

「ああ、味の組み合わせを確かめるだけですから、朝でも大丈夫ですよ」


「そう…」


「もう寝ましょうか、お休みなさいね」

「ええ…」


















「…すー、すー」


(……なんで熟睡できるのかしら、少しは警戒してもおかしくないのに)


「……」


「………よいしょ」

ガラ


「……パテル=マテル、ステルスとサイレンサーを最大限に起動して、来て……」

…フ、シューー


タッ スタッ


「…行きましょう」

「………」


「…、うん、大丈夫よ」


「……じゃあね、お姫様……楽しみにしてるわよ」













「…ん…」


「………」


「行っちゃいましたか……」


コンコン


「…どうぞ」


「失礼します」


「おはようございます、シアさん」


「お、おはようございます、あの、お手紙が届いています、こちらです」


「私に…?、ありがとうございます、あ、下がって結構ですよ」


「は、はい、失礼しました!」


ガチャ バタン


「…宛名は…書いてない?」


ビリ


(………)


「……レンちゃん」

「…………」


(……これは頑張って良いものを作らないといけませんね…)


(今度は3人で…また遊びに来て下さい…)














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