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□ジルとハンスと時々ジーク
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ジェニス王立学園
生徒会室



「ハンス、明日クローゼのとこ遊びに行くわよ、学園長の許可は貰ったしヒルダさんっていう侍女長さんにも話を通してあるし、明日クローゼも時間空いてるみたい、日帰りで帰りは最終飛行船よ、はいコレ飛行船のチケットよ、無くさないでね、明日9時に空港集合だからね、わかった?」



「おう了解…………ってなるかぁ!!!!!!」


「おう!ノリツッコミ!」


コイツのハチャメチャな行動にも大分耐性がついたと思ったけど甘かった、とんでもなく甘かった、ケーキに練乳をかけるくらい甘かった



「ちょっと待て、ツッコミを考える」



…だあぁぁ!ツッコミ所が有りすぎる!こういう時にヨシュアみたいな奴がいてくれたら!



「質問なら後で受け付けてあげるから、あんたは準備しちゃいなさいよー」


「あ〜もう!覚えとけよ!つか何で今言うんだよ!?前もって言えよ!」


「サプラ〜イズ」


「ぐわぁぁぁぁ!!!!!!!」



折角久しぶりに友人と会えるというのにコイツのお陰でまったく感動に浸かれない、サプライズという点¨だけ¨なら満点なのだが









なんだかんだで当日
王都グランセル


「クローゼ〜〜!!!久しぶり〜!!!」



〔ガバ!!〕



「きゃ!?、ちょっとジル!、苦しいよ…!」



王都の中心にある広場に、白を基調とした清楚な私服のクローゼといつもの学生服に身を包んだジルが再開の喜びを分かち合っていた


「ジ、ジル?、そういえばハンス君も来るって聞いてましたけど…?」


「ああ、多分ハンスならもうすぐ…」


〔ダダダダ!〕


「ゼエ…おい、ジル、ゼエ…空港…着くなり…ゼエ…荷物ほっぽって…走んなよ…」


「ほら来た」


「ハ、ハンス君…お久しぶりです…」


「よ、よう…ゼエ…クローゼ…元気そうで…何よりだ…ハア…」



両手に大きな荷物を抱えたハンスが荒い息を吐きながら到着、この様子を見ると相変わらずジルに振り回されていることを瞬時に理解できた


「と、取り敢えず積もる話はお城でしましょうか」


「後…20秒待って…」


「だらしないわねぇ」


「ジ、ジル…」










「…で、その時ハンスがさ…」


「止めろジル!、それは言うな!」


「ふふ…」



先程からずっとこの調子、夫婦漫才並の息の合いよう、でも関係は会長とパシリという可哀想なハンス



「あ、それよりクローゼ、後でフェンシングしよーぜ、道具一式持ってきた」


「はい、いいですよ」


「止めときなさい、わざわざ王都までボコボコにされに来たの?」


「う…」


「あ、はは…なんなら今からでも…」


「お、おし!、なら頼むぜクローゼ!」














「だから止めとけって言ったのに…」


「…うるせーやい」

「お、お疲れ様でした…」



王都の少し外れにある開けた地でハンスとクローゼが久々の試合を行ったが試合にもならずにハンスが肩を落としていた



「あ、そういえばクローゼさ、今日仕事…つか公務は大丈夫だったのか?」


「公務と一口に言ってもデスクワークだけってワケでもないんですよね、今日は午後から市内の視察ですから、ジルとハンス君の案内も出来るかなと思って」


「な〜る、流石クローゼね、いい考えするわね」


「午後からって…今大体11時だから…もう少しじゃないか」

「はい、ちょっと慌ただしいですけど1回お城に戻ってすぐ向かいます」


「はいはい、んじゃ戻ろうか、勝てないって判っててボロ負けして時間を無駄にしたハンス君?」


「…う」


「ジル、どんな剣士も負けを知って初めて成長するんですよ、無駄じゃありませんから安心して下さい」


「……優しさが痛いぜ…」


「?」



















「お疲れ様でした」

「いやいや、楽しかったわよ」


「おうよ、仕事の邪魔になったのは申し訳なかったけどな」


3人が視察と観光を交えて王都のあちこちの建物を訪問し、最後に立ち寄ったグランアリーナの近くの休憩所で、お約束である王族御用達アイスを食べながらたわいもない雑談を交わしていた



「いや〜、クローゼに会えたし歴史資料館にも行けたしアイスは美味しいし大満足ね」


「俺はちょっと疲れたな…」


「だらしないわね〜、あんた何歳よ?」


 
「お前が荷物俺に持たせるからだろが!?」


「まあまあ…2人共…」



辺りは空が茜に染まり始める時間帯、最終の飛行船にはまだ時間があるから今からでも出来ることは少なくない



「今からどうしますか?結構半端な時間ですけど…」


「う〜ん、クローゼの部屋行ってもいい?」

「え?、私の部屋?」


「おいジル…」


「…駄目かな?」


「え、えっと、…折角王都まで来たのに、私の部屋なんかで本当にいいの?」


「うん、今日あんまりゆっくり話出来なかったしジークにも偶に会いたいからね、観光より久々に会った友達と沢山喋った方が面白そうだし」


「ああ、それもそうだな、なら俺もそっちがいいな」


「2人共…、…なら喜んでご案内させて貰いますね」













クローゼに案内され女王宮に足を踏み入れる2人、あまりの荘厳さと格式の高さに流石の生徒会長も驚きを隠せずにいた

その中の一室、クローゼが自室の部屋のドアを開ける瞬間、白い影が横を駆け抜けた


「ピューーイ!」


「あ!ジーク、あんたはまったく変わらないわね」


「ふふっ、ジークもジルに会えて喜んでるよ」


「…ん?、あれ、そういえばハンスは?」


「あら…?、…はぐれる様な道あったかな…?」


「ん〜…ま、大丈夫でしょ!アイツもいい歳だしね!」


「……………」


「クローゼ?」


「ピュイ?」


「…今チャンスだから聞いちゃうけど、








ジルとハンス君って一体どういう関係なの?」



「………………………うん、逆にクローゼはどういう関係に見える?」


「……う〜ん、お互いに凄く信頼し合ってて…息の合う友達以上恋人未満な感じかな」


「ま、そんな感じよ、言っておくけどクローゼが想像してるロマンスはないよ」


「ジルはそうかもだけど、ハンス君は判らないよ?、ある日いきなり…もあるかもしれないね」


「ピュイ」


「クローゼ、目がキラキラしてるわよ」


「ふふっ、もしもジルはハンス君に言い寄られたら…どうしますか?」


「…………………」
「……まあ、…いい…かも、かな?」



「……ふふ、報告はお願いしますね?」


「わ、私より、クローゼはどうなのよ!白状しなさい!」


「あ、私は…」
ガチャ


 
「ただいま…はあ」

「ハンス君?どこに行ってま…って、ボロボロじゃないですか!?」

「ハ、ハンスあんたどうしたのよ!?」



「…城に入ったと思ったら…暗い部屋拉致されて…目の前に侍女が沢山いて……クローゼに手を出したらって……後は…何あったか覚えてない…」


「…なるほど、大変ねクローゼ…」


「あ、はは…ごめんなさいね…」



その後、取り留めない雑談の話題は尽きることなく、気が付けば太陽が沈み、闇が辺りを取り巻いていた



空港

最終の便まで後5分と迫った王都空港、自分達の日常へと帰る時が刻一刻と近付いていた


「わざわざ見送りなんていらないのに」

「わざわざ来てくれたのにその言い草はないだろ」


「ふふ、…2人とも元気でね」


「クローゼこそ、人の心配してる場合じゃないでしょ」


「お前なら大丈夫だろ、頑張れよクローゼ」

「…うん、頑張らなきゃね」


「なにプレッシャーかけてんのよ、あんたと違ってクローゼは言われなくても頑張れる子なのよ、それもっと頑張らしてどうすんのよ」


「…最後までコレかよ」


「ジル…」


「頑張んなってことでもないけどね、もうちょっと楽にしてもいんじゃないの?、…まあ立場も何もない判んない私が言うもんでもないけどね」



ピンポーン
〈ルーアン行き飛行船をご利用のお客様、お急ぎ、席にお座り下さい、繰り返します…………〉


「……よし!」

ダッ!


「え?」


ガシッ
「ぐわ!?」


「じゃあねクローゼ!また会いましょ!」


「ちょ!…、首、…首入ってる!」


シュウウウウ


「…あ、う、うん!またねジル!ハンス君!」


「ちょ!、俺にも何か別れの言葉的なこといわせてk」


シュウウ
ゴ…ォォォォォォ!



「………行っちゃった」


「……ピューイ?」

「ジーク!?、来てたの?」


「ピュイ!」


「…うん、大丈夫だよ、また会うって言ってくれたからね」

「ピュイ♪」







飛行船内


「ふう…」


「いてて…お前なあ…いくら自分が泣きそうになったからってこんなんしなくても…」

バシ!


「ぐわ!?」


「その何でも知ってるって言い方が気に食わない」


「事実d」


ドカ!!


「気に食わないっつってんのよー!!」


「ぐわー!?」








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