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□彼等の形
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「…シェラさん、少し…いいですか?」
「どうしたの?あんたが珍しいわね」
基本ヨシュアが私に相談を持ち掛けること自体稀で、今まで数えても両手の指で事足りる量だった
理由は性別や考え方が違うというより、そもそもヨシュアは昔から頭が良く、何でも1人で片を付ける人間だったことが大きかったりする
そんなヨシュアが相談を持ち掛ける案件といえば
「エステルの事なんですけど…」
エステル絡み、しかなかった
「…ま、何が出来るってワケじゃないけど、話くらいなら聞いてあげるわ」
「ありがとうございます…」
「んで?内容は?」
見た限りヨシュアの顔には疲労の色が濃く出ており、様々な手を尽くしてもその問題は解決出来ず、最後の砦として私を頼ってきたのだと簡単に伺えた
「はい…実は
エステルが…下着を自分で洗ってくれないんです…」
「……………は?」
「どうにか自分で洗って貰うためにも、知恵をお借りしたいなと思いまして」
今、私は相当間抜けな顔をしているだろう
ヨシュアの様子からそれなりにディープな話題かと思ったらまさかのコレだ
しかし当の本人は至極真面目に相談を持ち掛けている辺り無碍にするのも頂けない
「…あ〜、なら私の方からそれとなく言っとくは、多分それで解決よ」
「え?、でも僕が何回お願いしても現状は変わりませんでしたよ?¨水の無駄¨¨二度手間¨とか言われましたし」
「違うのよ、色々とね、……ほら、用事が済んだらお帰りなさいな、可愛い彼女が待ってるでしょ」
「え、は、はい、あ、ありがとう…ございました」
〔パタパタ ガチャン〕
(……はあ……まったく…あの2人は…)
溜め息を零さずにはいられない
少しは女らしくなったかと思えば違って、下着を彼氏に洗われることに抵抗を覚えないエステルもエステル、だがそれを必要以上に考えるウブ過ぎるヨシュアもヨシュアだ
なんていうか、ズレている
(…ま、幸せそうだから…良いか)
一般からズレていても幸せなら問題ない
取り敢えず下着は若い間くらい自分で洗わせなければ、いくら幸せでも最低限若い女としての常識くらい必要だろう
了