7th DRAGON2020
□刃と盾
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「……イオリ」
「ん、どうしたの?アンズ?」
「肘のとこ…怪我、してる…」
「…?、あ、本当だ」
指された箇所を見てみると、確かに痛々しく腫れた火傷のような傷ができていた
「大丈夫よ、大した怪我じゃないから」
何時の間にできていたのか判らないくらいの怪我、その程度の負傷で仲間に迷惑を掛けて足を止める理由にはしたくない
「……私を、庇ったから…?」
「アン…ズ…?」
確かに、先程のドラゴン戦
ハッキング中でドラゴンが吐き出す火球への反応が遅れたアンズを庇った、後ろにいるアンズを守るよう何とか上手く火球を逸らすことが出来たけど完璧には逸らせなかったのだろう、僅かに掠ってしまったみたいだ
「…ごめん…なさい、私の…所為で…」
「……アンズ」
「足も遅いし…鈍いし…身体も弱いし…迷惑…だよね…足手まとい…だよね…13班に…必要ない…よね…」
「………ふぅー」
まったくこの子は、普段はいらない所ばっかり大人なのに、やっぱりムラクモだとかS級だとか騒がれても、まだまだ根本は年相応なのか
「ぎゅーっ!」
「………!」
「いやー可愛い!可愛いなアンズは!普段大人っぽい顔してるちっちゃい女の子がいきなり涙目で弱々しくなっちゃうとか反則だよ!柔らかいし良い匂いだし抱き心地最高だし、さっきアンズがハッキングしてくれたからみんな攻めに行けたんだし、アンズがサポートしてくれるから私やカズが安心して前線にでられるんだよ、あーアンズいなくなったら13班終わっちゃうなこれはー」
「……うぐぅ…」
「−−−だから…自分が足手まといとか…二度と言わないこと」
「…イオリ…くるしい…わかったから…くるしい…」
「よろしい」
手を放したらケホケホと咳き込むアンズ、ちょっと強すぎかもしれないけど、多分このくらいがちょうど良い
「ほら、行こう、みんな待ってるから」
前を向けば此方に手を振って何か言っているカズ、腕組みをしているキリと欠伸をしているヤクモ、皆足を止めていた私とアンズを待っていた
「…うん、でも…手当ては…してもらって」
「あー…わかったよ…」
「フフッ…よろしい」
仲間達の元へ、向かう
私達は皆揃って、初めてムラクモ13班なんだから
了