お題小説

□顔も見たくない
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「顔も見たくない、か」

自分がいってしまった暴言をつぶやいてみる。確かにこれはひどい言葉だ、と吾代は苦笑する。どんな相手に言われたって許せないだろう。



何となく謝りづらい。




あんなに愛くるしかった笑顔が、もう見れないかもしれない。





さらに状況が悪いことに、自分は今新たな情報を持って事務所にむかっている。間違いなく顔をあわせることになるだろう。どんな言葉をかければいいのか、そのことだけが頭をぐるぐる回って、吾代は足取りがおぼつかなかった。


























「おお、吾代」


出迎えたのはネウロ一人(プラスあかね)だけだった。少し拍子抜けしながらも、情報の入ったファイルを渡す。

「おい、あいつは?」

「ん?ヤコか?あいつなら補習とかいうやつらしい。来たらお仕置きだな、我輩を待たせるなど」

ネウロは表情も変えず涼しげに話す。吾代は極端に偏った思考でとらえたようで、弥子が来たらいちゃつくんだれうと勝手に解釈していた。



「じゃあ俺は帰るからな」

「少し待て」


ネウロはキーボードをたたいていた手を止めると、吾代を見る。


「貴様、何か心当たりはないか」

「何がだよ」

「…ヤコがいつにもまして変なのだ」








変?









「お前がひどいことでもいったんじゃねえか?」

「そんなの日常茶飯事だ。あんな感じに似ている、えーと…」

ネウロは腕を組みしばらく考えると、思い出したかのように顔を明るくして言った。
















「恋愛ドラマで、ヒロインが他の男に惚れていると思い込みヒーローがヒロインを傷つけた感じだ」



















傷つけた心当たりなら多大にあるが、疑問があった



「お前らできてんじゃねえの?」
















「わけのわからんことを言うな、そんな感情など一秒たりとも持ったことがない」

ネウロは鼻で笑うように言う。吾代は、自分の考えすぎであったように理解すると、ネウロは続けた。



「だがいくら豆腐だとはいってもあそこまで腑抜けられると我輩が困る。原因がお前なら片付けておけ」





弥子は、そんなにショックを受けているのか




吾代はすぐに事務所を飛び出した















ネウロはあかねに話し掛ける

「まったく、自分達自身のこともできなり奴隷を持ってしまったが、我輩はやさしい主人だな、あかね」

あかねは髪を盛大に揺らす。

「愚かな部分こそ、奴隷同士で補いあうがいい」

ネウロは再びキーボードをたたき始めた
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