お題小説
□もう、忘れた
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もう、忘れてしまった
「どうしたんですか?」
「え」
たまたま会った弥子を食事に誘った笹塚
しばらくぼーっとしていたようで、弥子はとっくに食事を終えている
「笹塚さん、全然食べてないから具合でも悪いのかな〜って」
「いや、なんでもないよ」
そう、別に具合が悪いわけじゃない
「そろそろでようか」
「あっ、はい。ごちそうさまでした!」
壱万円…よく一人でこんなに食べれるなぁ
「ごめんなさい、無我夢中で食べちゃって」
「いいよ、あんまお金使わないから、たまには使わないと」
「…ありがとう、笹塚さん」
もう、忘れてしまった
「あれ?先輩が俺より早く出勤って珍しいっすね!」
朝早く目覚めすぎたから早く来たのに、石垣がうるさい
「ちょっとな」
「あ、もしかして恋わずらいですか!いや〜、わかります!俺も学生時代とかよく…」
「うるさい、バカ」
そう言って思わず石垣の机にあった恐竜のフィギアを投げたら、石垣が涙目でぎゃーぎゃー言ってる
恋わずらいか
少なくともそれはあるだろう
だけど
それだけで俺はこんなにはならない