お題小説

□君のそういう所が嫌いだよ
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君のそういう所が嫌いだよ




そう言ってしまえたら、どんなに楽なことか













「どうしたんすか先輩〜」

「いや、なんでもない」

昼の休憩時間

笹塚はタバコを吸いながら携帯に目を通していた








「弥子ちゃんばっかだな」

思わず呟いた一言に、石垣が過剰につっかかる

「ひどいっすよ先輩!俺だってたくさんメールしてるじゃないっすか〜!」

「あー…わりと見ないで削除すっから」

隣で放心している石垣に見向きもせず、笹塚は弥子からのメールに目を通す


内容は、他愛のないことばかり


今日は小テストで落ち込んだ

若菜のたこ焼き食べてみてください

お母さんが出張なんでさみしい








笹塚は、しばらく弥子に会っていない

忙しいから、というのが一番の理由だが、なんとなく会いづらかった




あいたすぎて、あいづらい








「俺病気かもしんねー」

「俺も先輩が冷たすぎて病気になりそうっす」

「ん、一生治んないって」

更にうちひしがれる石垣をよそに、笹塚は仕事に戻った





















「笹塚さん!」


笹塚は後ろからかけられた声に一瞬たじろぐ。どう考えても『あの人』の声だからだ。







「…弥子ちゃん」

自分がどんな顔をしているか、笹塚は自分でもよくわかった

人の感情を察知しやすい弥子なら、気付いてしまうかもしれないことも










「えっとあの、お久しぶりです」

やや様子をうかがうように話す弥子を見て、笹塚はやっぱりな、と確信をもった

自分がどんな様子か、を


「ん、久しぶり」
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