お題小説

□嫌
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可愛くて可愛くてしょうがない彼女が




涙をにじませながら













「イヤッ…」








とか言ったら



正直




もう何もできない



















『嫌』














「ふぅ…」

笹塚は仕事の合間、憂欝な気分やため息をごまかすためにタバコを取り出す。いつもの様に火をつけ、いつもの様に吸う。が、いつものようにリラックスはできないでいた。

表情はいつもと特に変わらないので、まわりの同僚が笹塚の異変に気付くことはない。本人は気付かれようと気付かれまいと、どちらでもよかった。

ただでさえ低いテンションが、余計低くなる。


こんなにも笹塚の調子を狂わせているのは、昨日のある出来事だった。


























「本当に今日泊まってくの?」

笹塚は表情こそ変えなかったものの、驚きながら弥子に尋ねた。

「うん、せっかく今日家に誰もいないのに!」

弥子は笹塚の驚きなどまったく気付いていなかったようで、楽しげに笑いながら答える。




弥子と付き合い初めて二ヵ月。仕事や学校や、色々あって、こうして泊まるということは初めてだった。お母さんが出張で、明日は平日にも関わらず、弥子は泊まりに来たのだ。

わかってるんだろうか

一人暮らしの男の家に泊まるという意味が

笹塚は自分の考えを振り払うように頭を振り、弥子の言葉を受け入れた。
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