お題小説

□何もかも元通り
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こんな生活がいつまで続くのか、嘆いたこともあった



いつになったら、自分の自由な時間が持てるのか、不満が爆発しそうなこともあった



でも、考えたこともなかった





ネウロがいなくなるなんて











『何もかも元通り』







「ネウロはさ、いつかいなくなっちゃうの?」

急な質問だったみたいで、ネウロは心底意味がわからないという風にため息をついた。


「いなくなれということか?」

「違う違う!ただ…」





ただ、気になっただけ

「人間がいる限り、大きさは問わず謎は生まれ続けるからな」

「そっか」

そうだよね

こんなに謎が生まれやすいこの環境を、この魔人が手放すわけないよね。


「ちょっと、気になっただけだよ」

だって、ネウロはもう、あかねちゃんの謎まで食べちゃって(結果あかねちゃんは埋葬された)

更にはサイの謎まで食べちゃって、

今までに見たことがないくらい満足げな顔してたから

もう、どこかに行っちゃうのかな、って気になっただけ。




ただ、それだけ。











「ヤコ」

「ん?」

「ちょっとこい」

いつものように、いや、いつもよりはちょっと穏やかめな感じがしたのは気のせいかな?ネウロが呼んでる。


「何?」

私が聞いた途端に、ネウロの腕が私に伸びてきて

苦しいくらいにきつく抱きしめられた。



「へ!?!?!?」

「黙れ」


きつい。

苦しい。

どうしちゃったの?

「ネ…ネウロ、苦しいんだけど」

ネウロは、左手できつく私を抱きしめたまま、右手で私の頭をなでる。

抱きしめてくるきつさとは違って、不思議なくらい穏やかな手つきだった。

「ネウロ?」

「…お別れだ、ヤコよ」

「え?」







ネウロになでられてる、後頭部が

たまらなく、熱い。


「んあっ!!あつ…ぃ…」



頭が、ぼーっとする。

ネウロ…


ネウロ?


何したの?









遠くなっていく意識の中で

ぼんやりと見えたネウロの表情





ぼんやりとしか、見えなかった

けど





泣きそうな顔、してるよ?
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