小説
□嘘ならいらない
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たまにだけど
もう、ほとんど諦めてることなんだけど
貴方からの甘い言葉がほしくなる
『嘘ならいらない』
「昨日彼氏にもらったの〜」
「なんか言われた?」
「うん☆ずっと好きだよだって」
「きゃー♪」
昼下がり
クラスメイトのなんとも楽しそうなおしゃべりを聞きながら、弥子はため息をついた
「いいよね、女子高生らしくて」
「何おばさんみたいなこと言ってんのよ」
叶絵はそんな弥子につっこみを入れながら携帯でメールを打っている
「今度も合コンなのよ〜、いい男こないかな〜」
「…私も行こうかな」
「あんたにはイケ面な助手がいるでしょ」
あっさり拒絶され、弥子はまたため息をつく
自分はネウロがいないとダメらしい
そのことには、弥子はだいぶ前から気付いていた
気付いていたからこそ報われない
いつも奴隷扱いされるのが、どうしても腑に落ちない
反抗できないのが、悲しいところ
「たまには優しくしてほしいもんだよ」
ぼそっとつぶやいたはずだったが、叶絵には丸聞こえであった
「あの人優しそうじゃん?」
「そうだったらどんなに嬉しいことか」
私、バカだよなぁ
そんなに優しさが欲しいなら
ネウロを思うのなんてやめればいいのに