小説U
□trick or treat?
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「trick or treat」って言うだけでお菓子がもらえるなんて、ハロウィンはなんて素敵なイベントだろう
なのになんで日本ではあんまり定着しないかなぁ…??
『trick or treat?』
上機嫌でソファに腰掛け、カバンの中をごそごそする弥子の様子が気に食わないらしく、ネウロは弥子の頭部めがけてエアコンのリモコンを投げつけ、鮮やかに命中した
「痛いっ!」
「当たり前だ、痛くしているからな。…なぜそんなに浮かれている」
「ああ、今日はハロウィンなんだ」
ネウロはきょとんとしている。そのリアクションが不満だったのか、弥子は今日のいきさつを話し出した。
外国から来た英語教師が、ハロウィンということもあり特別なゲームをしてくれたらしい。景品がお菓子ということもあり、弥子は周りの人がひくくらいの勢いでがんばり、人より多くのお菓子をもらえたらしい
「いいイベントだよね〜ハロウィンって」
「ふん、昔はハロウィンを利用した犯罪もあったらしいぞ?手作りのお菓子に毒を混ぜ恨みを持つ相手の子供に食わせたり。そういうことがあって以来いまや市販以外のものは渡してはいけないというなんとも殺伐としたルールがあるらしい。興味深いなヤコ」
「いや、夢壊さないで」
「ふん」
ため息をつきつつクッキーの入った袋を取り出した。袋にはかぼちゃのおばけとかわいらしい魔女、吸血鬼のイラストがプリントされている。
「ネウロはこの吸血鬼に似てるかもね、雰囲気とかぴったり」
「ほう?」
「私はこういう魔女の格好とかしてみたいなぁ、かわいいよねこれ」
「着る人間による」
「うぅ…」
いざクッキーを食べようとしたとき、ネウロはヤコの隣に座っていた
「吸血鬼というものは、人の血を吸うそうだな」
「そうみたいだね…って、ぎゃああああああ!!!」
ネウロはにんまりとしながら勢いよくヤコを押し倒し、首筋に顔をうめている
「我輩は吸血鬼役なのだろう?」
「役とか言ってない〜!!」
「何してんだお前ら」
ドアのところに吾代が立っていた
はたから見たら、明らかに大人な行為への突入体制だ
「吾代さん〜!!」
「…ちっ」
ネウロは不満げに弥子を解放した
「何の用だ?」
「お前が今日中に書類持ってこなかったら殺すっつったんだろーがぁぁぁ!!」