小説U
□紅茶にはハチミツをそえて
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最近の女子高生はすすんでるなぁ、ってまるで人事のように思う
実際人事だと思うし
だから、叶絵とかの、その、大人な話を聞いて吹き出すことなんてしゅっちゅうだったわけで
いつかは私も体験するのかな、くらいの意識しか働いてなかった
『紅茶にはハチミツをそえて』
「…叶絵」
「何?」
「それ、キスマーク?」
叶絵の首元にあるほんのり桜色の跡を指差して言うと、叶絵は否定するかのように笑った
「違う違う、ちょっとチャック上げるときに挟みかけただけよ」
「そ、そう」
少し安心した
なんか、こう親友が大人な世界を経験しているということは百も承知なんだけど、なんかこう、もう、イヤじゃん!リアルに聞いたら
「まさか弥子からそんな会話が始まるなんて予想外だったわ」
「そ、そう?」
「男できた?それとも気になる人?どうなのよ」
にんまりしながら追求してくる。うん、逃げられそうにない
「まあなんかあったらいつでも聞きなさい」
「う、うん」
「かえろっか」
叶絵には言ってないんだよね、その、いわゆる好きな人?ができたこと
帰りながらの叶絵の尋問は続く
「助手?」
「違うよ!あんなドSなやつ!」
「じゃあよく町で会うテンション低い刑事さん?」
「違うって。優しいから好きだけどね」
「じゃああのこわめな人?」
「いやいやいや、気は合うけどね」
私が話したことのある人のことをあげて、必死に叶絵は考え込んでいるようだ
でも
確か私
言ってないよね
「桂木〜」
「え?」
校門のところに
ヒグチさんがいた