小説(恋華夢なし)
□温泉パニック!
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薄暗い一室にて新選組のメンバーはみな,近藤の手にするものを緊張した面持ちでじっと見つめていた。
「さぁ,誰から行く?」
ニヤリと近藤が笑みを浮かべると真剣な表情で原田が前にでた。
「俺からいくぜ!」
原田はごくっとつばを飲み込むと,やや緊張した面持ちで近藤の手から一つを選択した。
「これだ〜!!」
原田の手に取ったこよりの先は赤く塗られていた。
「よっしゃ〜! 温泉だぜ,温泉。やっほ〜」
原田が大喜びする中,くじ引きは続く。
今回のくじは,初の休みをとって温泉旅行にいくメンバーと留守番メンバーを決めるものであった。
近藤の手の中にあるくじをみつめるメンバーの視線はかなり真剣である。
「次は俺だ! 絶対に温泉にいってやるぜ」
全身を燃えたぎらせて永倉が前にでてくる。
「だ〜っ……,これだ〜!!」
そうして,非常に熱気のこもる中,くじ引き大会は続いた。
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