光馨小説
□庶民双子
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庶民な双子
「つまんねー…」
午後のつまらない授業なんか当然耳に入らない。まあ午前だって大して聞いちゃいなかったけど。
そもそも勉強なんて、こんなに必死にやらなくたってそれなりにできる。テストで結果を出せばいいのなら俺と馨に授業なんていらないよ、なんちゃって。
そういえば馨のクラスは自習なんだっけ、いいなあ。
あああ、馨と離れて2時間も経とうとしてる…。
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「ちょっと、光!?」
思い立ったが吉だ、と勢いよく立ち上がったら隣のハルヒが声を上げた。そこでいつものように笑ってみせれば、溜め息混じりに呆れた顔を見せる。
「ひ、常陸院っ!?」
「俺熱っぽいんで帰ります!」
センセーの声やクラスのざわめきを背中に受けながら教室を飛び出して、向かう先はただひとつ!
「かおるー!」
「えっ…なんで、光!?」
思い切りドアを開けると、窓際で真面目に自習をしていたらしい馨が(心底驚いたって顔で)こっちを見てくれた。
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「何してんの?授業は?」
すぐさま駆け寄ってきてくれる愛しの馨に極上のスマイルを向けて、(だって俺は馨がこの顔に弱い事を知っている)
「馨!これからどっかいこう!」
「はぁぁ!?」
手をとって駆け出しちまえばこっちのもん!
「ちょっと光っ、鞄がまだ…!」
「そんなもんいらないって!」
慌てながらもしっかりと手を握ってついてきてくれる馨がどうしようもないくらい愛しくって、俺はまた加速度をあげるんだ。
あああ好きすぎて止まれない!
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