極彩色の世界

□2.白銀の世界にひとりぼっち
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昨日より寒い朝。隣に君がいないだけでこんなにも寒いものなのかとカーテンを開けると、そこにはうっすらとした白銀の世界が広がっていた。残酷なほど綺麗で眩し過ぎる世界。


鏡に映った僕は腫れぼったい目と浮腫んだ顔で酷く不細工で、こんな酷い顔で学校に行ける訳がないと溜め息が出た。こんな状態で特別登校したい訳でもないけれど、でも学校に行けば光に会えるかもしれない。もし光の気持ちがまだ治まっていなくても、直接会って謝りたいんだ。
とりあえず目を冷やしてからシャワーを浴びて、いつもはお揃いにセットする髪型は弄る気になれなかったからそのままで。防寒具を何も持たずに飛び出していった光の分のマフラーと、不安で重く息苦しい胸を抱えて車に乗り込んだ。
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学校に着くまでをこれほど長く感じたことは、一刻も早く学校へ辿り着きたいと思ったことはあっただろうか。ドアを開けて貰うことも待ちきれず、転がり出るように車を飛び出して脇目も振らず教室へと走る。どうか、どうかそこに君がいますように。



教室が近づくにつれて怖じ気づいてしまいそろそろと扉を開けると、窓に顔を向け頬杖をつく光の姿があった。ドクンと跳ねる心臓を抑え一歩踏み出す。どうしよう、光に会うことしか考えず、その後のことを全く考えていなかった。
何事もなかったようにおはようと声をかけるべきか、でもそれじゃあまるで反省していないみたい。本当に申し訳ないと思っているのなら、昨日は酷いこと言ってごめんと第一声で謝るのが一番だ。
意を決して席へ向かい、ハルヒの挨拶に軽く返事をし荷物を置いて光の側へ…と思ったのに。僕の横をすり抜けていく影、それは光だった。一瞬見えたのは冷たい無表情。その瞳は僕なんか見えていないように真っ直ぐ前だけを見つめていた。


立ち尽くした僕の心は急速に冷えていく。
ああ、凍え死んでしまいそう。

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