光馨小説
□繋ぐ手
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光はいつも、どんなときでも手を繋いでくれる。
「だって手を繋がないとさ、馨寂しそうな顔するじゃん」
なんて光は言うけど、僕本当にそんな顔してるのかな。
光が僕と手を繋ぎたいから、僕を理由にしてるんじゃない?
だけどもしそうだとしたら
光が僕と手を繋ぎたいときは、僕が光と手を繋ぎたいときだ。
だって思い返してみれば、僕が光と手を繋ぎたいと思ったとき
いつも光が手を差し出してくれてたもんね。
………そっか、簡単なことだ。
光の気持ちは僕の気持ち。
いつだって一緒にいたい、隣にいたい、繋がっていたい。
だから、手を繋いでいたい。
うん、手を自然と繋げるって、物凄く幸せなことなのかも。
離れない、一緒だって思えるし、伝わる。
光はいつもこの幸せをくれていたんだね。
僕が、寂しくないように。
じゃあ、今度は僕の番。
光が幸せなら僕も幸せだから。
一緒に幸せになろうよ。
「光!」
名前を呼びながら手を伸ばす。
そしたら光はちょっとびっくりしたみたいだったけど
すぐに笑って僕の手を掴んできてくれて。
そして、同時に強く握りしめた。
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