光馨小説
□所詮戯れ言なのかもしれない
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「交換日記しよう!」
部屋に飛び込んできてすぐに何を言い出すかと思えば、と馨は読んでいた洋書から顔をあげ呆れた眼差しを向ける。
それでも興奮した声の主である光が無邪気な子供のように目を輝かせているものだから、とりあえず話だけでも聞いてあげようと「なんで?」と問いかける。
「殿とハルヒがやってるんだって!」
「…ハルヒが?へぇー珍しいね」
だからと言ってどうして僕らまでやんなきゃなんないのさ?とも思ったが、言えばさらに騒ぎ兼ねない。早く続きが読みたいのなら今は相手をするしかないのだ。
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「それでさ!なんとあのハルヒが、日記には好きとか書いてくれるんだって!」
「ふぅん…」
(あぁ面倒くさいから殿が喜びそうな事を適当に書いてるか強制的に書かざるを得ないんだろうな)
「だから僕らもやろう!殿なんかに負けてらんないよ!」
いやなんの勝負ですかと問いたいが、問う隙もなく興奮してなんだかんだと喋り続ける光。どうやら相手をしたところで読書の時間は守れないようだ。
それを悟った馨は開いていた本にしおりを挟むとぱたんと閉じ、こっそり溜め息をひとつ。
(光と殿ってこういうところ本当に似てるよね)
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「ねえ馨聞いてる!?」
「聞いてるよ。つまり僕に光好き好きってだけのくだらない内容の日記を書けってことでしょ?」
「ひど!!くだらないって!僕は馨直筆の好きって文字を保存しておきたいのに!」
「あのさ、光」
好き好きだけじゃくだらないでしょ。
どういうところがどうして好きか、何がきっかけでいつから好きか、事細かに書いてあげるよ。
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