book2

□誘惑に落とされて
1ページ/1ページ


「うー…寒すぎるっ」

朝の気温は寒すぎてあったかい布団からなかなか出られない。

「おい、遅刻するぞ」

「むりだよー…」

「置いてくぞ」

「薄情物ー…」

寮生活のルドルフで同じ部屋にあたった裕太。その裕太があたしの布団を引っ張る。

「やめてーっ」

「うわ、まじあったか」

「でしょー?」

「おう」

あたしは得意げにフフンと鼻をならしてみせる。

「サボりてぇー…」

「同感ー」

「つーか俺も寝る」

うんうん、ようやくこの至福さを理解したか。

「…って、はっ!!?」

「何だよ、」

「いやいや、自分のとこで寝なよっ」

「お前あったけぇんだもん」

「だってだって…」

あたしの布団に潜るアナタとの距離が意外にも近くて、この暖かさが暑いくらいに感じる。

「もー嫌だあー…」

「は、何が?」

「裕太は分かんなくて良いのー」

「…変な奴」

頭の中が沸騰する。目を閉じても全然眠れそうにない。

「…ま、そんなとこが好きなんだけどよ」

「ん?」

「な、何でもねぇよ!」

よく聴こえなかったけど何かココロがくすぐったくて、アナタの傍にいれる事が嬉しくて仕方ない。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ