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□ただいま
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「よーじろー。」


午前6時。

「ものっそい犬の気分だけど何?」

「ゴミの日」

「あら。ホントだ、ジャンケンする?」


温かさを求めてベッドの中で足を動かす。

途端に君の足が温かくて絡めたまま動かせなくなった。

火曜日はごみの日なんだ。


「ジャンケンするだけ無駄だよー、よーじろー弱いじゃん?」


君は瞼を閉じたまま笑う。


もう負けた気分だ。



君はズルいと思う。

見たことないけど女神に似てる。芸能人の誰かよりも。



「この寒さの中、ゴミ出しに行ったら君のよーじろーさんは喉に…」

「ジャーンケーン」






僕は最初にパーを出す。

君より大きなこの手はジャンケンするためだけじゃないんだ。

かじかんだ君の手を温めたり、抱き締めたりするためだよ。


これはどちらかと云えば僕の勝ちだったりするのかな。






「おかえり。ハニーミルク入れといた」


「今度ツアー終わったら休み作ってお前んとこいくよ、挨拶」



負けるが勝ちなんていうけど勝つとき勝たないと意味じゃん。




「挨拶とかいいよおっ、そんなん要らないってば勘違いさせるしお父ちゃんビックリするじゃん」






「ジャンケン、する?」



パーは出すか分からないけど。





君の笑顔が引きつる。

俺はズルい。
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