dream2

□ハイヒールの快感
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「踏んで下さい」

「そうか、地獄に落ちろ」

目の前で言ってきたある意味幼なじみとも言える、同僚に即座に返した。
最近、よくこういう事を言われる。
…一体どうしたというのだろう。

ふぅ、

「…今日もよく晴れているな」

「そうですね、どんよりとした雨雲のこの空は貴女の心を映しているようですが、まぁ、貴女の心の範囲の中では、まだ晴れている方のようですね。」

この毒舌で失礼な口調、言葉は、いつもの事だと納得できるだろうに。
慣れている時点で私も色々終わっているな。しかしこんな無礼な言葉に私も同じように返す。

「まぁ、そうだな。でも、お前の心に例えるとすると、快晴だろう。私はよく晴れているようだな、と言ったんだ。お前の性格を判断してやった、感謝しろ」

「僕が感謝する義理などありませんけど、一応ここは礼を言った方がいいのかな?本にも、思ってなくても感謝をすると相手に良い気持ちを与えられると書いてありましたし。まぁ、貴女に良い気持ちをさせても僕は得なんてしませんけど。」

「あぁ、思っていないと言った時点で台無しだがな。」

互いにニッコリと笑い合う。

「不格好ですね、笑えてませんよ。」

その言葉に私は表情を無表情に戻した。ダンゾウ様の側近候補に選ばれてから、あまり昼の内に外に出る事がなかったからな。笑顔を作る必要がなかった。
それにしても、この男…サイは私が上司になったのだというのに遠慮がなく、毒を吐いてくる。敬語なだけ譲歩しているとでも言うのだろうか。


 
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