dream

□あたし専用!
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「うぅ、寒〜!」
「大丈夫?ほっぺ真っ赤だよ」
「うん、ありがとうベポ」
「この程度で音をあげんのか」
「…あ、あたしは寒さに弱いの!」
「暑さにも弱いだろうが」



お前は一体何に強いんだ?と勝ち誇ったような顔で聞いてくる船長うざい。自分だって実はカイロ貼ってるくせに。あたしは大人だから知らないふりをしてあげるけど、ほんとは寒さに弱いの知ってるんだから。
しかしまあ、今はそんなことはどうでもよくて、いち早く暖をとるのが先決。とりあえずあたし達が喧嘩を始めるのではとあわあわしているのが手に取るようにわかるベポの腕をがっしりと掴んだ。あーあったか…



「…くない」
「?」
「あったかくない!」



おかしい、何故。なんてことは思う暇もなく謎はとけた。この服すっごい冷たい。でもこの寒さの中いくら熊だとはいえあたしのためだけに服を脱いでくれとは言えない。



「ベポ…あたし帰るね」
「どこに?」
「部屋。暖かくなったら起こしてね」
「冬眠する気か」
「する」
「…チッ」



明らかな舌打ちをされたあげく、面倒くさそうにため息を吐かれてしまった。そんなこと言ったって、寒いもんは寒いんだから仕方ないじゃないか。そりゃああんたは暖かいんだろうけども。
そんなことを考えていると、「来いよ」とローが両手を広げているのが見えた。



「おれに抱かれると暖かいぞ」
「なんか言い方が」
「良いから来い」
「だいたい服越しにカイロを感じても」
「馬鹿かお前は」



自分では正論をぶちかましたつもりだったのに、返ってきたのは辛辣な言葉。ムカッとしたので帰ろうとしたら、「お前はおれに触れてたら体温が上がるんだよ」と意味不明の説明をされてしまった。しかし、その意味不明の説明だけでキュンときて、よもや体温が上がるなんて、誰が予想できただろう。





あたし専用!

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