dream

□君のベッド
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朝が近づく、白む空模様。私は目を覚ます。隣で寝ている彼も気にせずに、軋む音を残してベッドから降りる。もちろん、未遂に終わるのだけれど。


「何処に行くんだよ」

「自室に決まってるでしょう」

「駄目だ」


そう言って、彼は掴んだ腕を抱き寄せるようにして、私を布団の中へと引きずり込む。逃がすまいとしているのか、私を掴む手に軽く力が入る。


「離して頂戴」

「離す理由が俺にはねぇ」


まだ眠いのだろう。寝起き独特の掠れた声と、半分ほどしか開いていない瞼。けれど瞳はしっかりと私を捕らえている。駄々を捏ねる子供の様な幼さが、とても愛しく感じる。が、それとこれとは別の話。


「部屋でゆっくり寝たいの。誰かさんとじゃベッドも狭いし」

「寒い夜は人肌が恋しくなる、だのなんだの言ってただろ」

「いちゃいちゃするより、広いベッドでの安眠が今の私は恋しいわ」

「いちいちテメェは可愛くねぇな」

「あら、その可愛くない私に盲目なのは誰かしら」


挑発的に笑うと、舌打ちが聞こえた。私には言い負かされる彼の方が可愛いと思うけれど。いつだったかそう言ったら、その夜は寝かせて貰えなかった覚えがある。


「良いから寝ろよ」

「独りじゃ寂しくて寝られない?」

「ほざけ。テメェが寂しくねぇように寝てやってんだよ」

「ふふ、それはどうも」


手繰り寄せるように腰に回る腕。微かに赤みを帯びた彼の頬。それだけで私は満足。外では、朝が太陽を起こしていた。もうすぐ船の中も騒がしくなるだろう。それでも、私達は目を閉じた。「おやすみ」の代わりに、愛を囁いて。





(そこは私達だけの世界)

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