金色のコルダ短編集

キミの言葉とスキの欠片
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“新着メールはありません”



もう何回目か分からない。

テスト期間だっていうのに返ってこないメールが気になって数分毎に携帯を握りしめてた。


彼がメールをそんなに好きじゃないって事は知ってる。

けどやっぱりしたくなっちゃって、結局欲望の赴くままに私は送信ボタンを押してた。


「あーあ、もうやんなっちゃう…」


座ったまま上を向いてそう呟くとなんだか涙が出てきそうになった。


メールは絶対に私から。

話しかけるのだって。

全部私から。


時には彼からしてくれてもいいんじゃないか?
なんていうの?愛情過多?


付き合ってもいない完全な片想い。

それはどっからどうみても私からの一方通行でしかない。




「俺と、付き合って欲しい」


ううん。

ごめんね、土浦君。


「別にお前があいつを好きでも構わない。だから俺と付き合ってくれないか…?」


私なんかじゃ全然釣り合わないくらいかっこいい土浦君がこんなに真剣に自分を想ってくれてるなんて本当奇跡みたい。


だけど。

彼を好きな気持ちがあるから。

だから私は土浦君とは付き合えない。

たとえ付き合った方が楽なのはわかってても。



自らの意志で私はつらく、苦しい道を選んだのだ。




不意に、

携帯が、

揺れた。
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