YUNHO
□Santa Claus -YUNHO-
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今日はクリスマス
思ったより仕事が忙しくて
会社を出るのが予定より遅くなってしまった
約束の時間はもう過ぎている
改札を出ると、すぐに私は走った
どうか…
どうか間に合いますように…
幸せな事が待っていると
すれ違う人達もみんな、自分と同じように見える
小脇にプレゼントらしき袋をかかえている人
目的地に向かって足早に歩いている人
きっと今日のためにお洒落をしたのであろう人
キラキラのイルミネーションの下を走りながら
みんなの表情も
キラキラと輝いている様に見えた
それでもやっぱり今日だけは
きっと、私が一番幸せ者だと思ってしまう
だって
小さい頃からの夢が
ついに今日、叶おうとしているんだから
「ハァッ…ハァッ…」
ガチャンッ!!
キィッ…
「よかった…間に合った…!!…ハァッ」
大急ぎで確認したのは
家のポスト
宅配便の不在届は入っていなかった
「よしっ!!まだ来てない!!やったぁ…♪」
私の小さい頃からの夢
それは
いつか大人になったら
大きなクリスマスホールケーキを
カットしないで一人で食べる
これ
ホールケーキの思い出と言えば
当然家族や友人とカットして食べるわけで
まぁもちろん、それはそれで楽しい事なんだけど
でも結局は
自分が食べる時はカットケーキになってるわけで
なのでいつも幼心に『これを一人で食べてみたい!!』と
ずぅーーーーーっと思っていたのだ
ナイフなんか使わず
フォークも
デザート用じゃなくパスタ用のでっかいやつで
贅沢に、好きな所から直接ケーキをすくってみたかったのよね
そしてついに今晩、その夢が叶う…♪
ようやく『これぞ!!』と思えるケーキと出会って
それが今夜、届くのだ
誰かと過ごすだけがクリスマスじゃないんだよ
あれこれ気を遣うこともなく
こうやって自分のためのクリスマスを過ごす…
なんて幸せ
なんて素敵なクリスマス
「今日はおいしいコーヒー淹れなきゃ♪」
私はルンルンで部屋に戻ると
正装し、化粧を直し、身も心も万全な状態でケーキを待った
もういつ来てもOKだ
さぁ、来るがいい
ホールケーキよ