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□浮かぶ白雲を見つめて笑う
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運命というものが本当に存在するのなら、ボクはボクの運命を呪うよ。
「(最っ悪…)」
浮かぶ白雲を見つめて笑う
「ボクってつくづく女運ないな」
「あたしこんな生意気な伯爵とやってける気がしない」
先ほど顔を合わせたお互いの第一声がこれだ。
クラエスは相変わらずムスッとした表情のまま言った。
「ねぇチャールズ、これドッキリだって言って」
「むしろボクが言われたいんだけど」
本当に、どこからか“ドッキリ大成功!”って書かれた札とか出てこない?
うん、マジで。
「あーあ…なんでよりにもよってキミみたいなのが婚約者に選ばれちゃったかなー…」
「死ね、白髪」
侯爵令嬢にあるまじき暴言をさらりと吐くクラエス。
お互いが婚約者だと知ったのは、ほんの数十分前のことだった。
「(本当になんでクラエスなの?いじめ?)」
以前から貴族同士の交流で何度も顔を合わせていた仲ではあったが、ボクはこんなにムカつく女を他に知らない。
会ってすぐに、
「若白髪の多い伯爵ね。ストレス障害?」
なんて口を聞く英国レディが他にいるだろうか。
「白髪じゃなくて銀髪!!何度言ったら分かるんだよ!!脳みそ足りてる!?」
「貴族のくせに礼儀をわきまえないアンタに言われたくないわね!!人の家の扉破壊して入ってくる伯爵がいるかしら!?」
目が合う度に所構わずぎゃあぎゃあ言い争い、フィップスに何度叱られたことか…。
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